madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

台風19号の接近にも関わらず開いている店を探してきた(上野編)

今日の朝、やけに妙にテンションが高かった。

こういう日はたまにある。

起きた瞬間、エネルギーに溢れている感じ。

なんだか、こう、何かをめちゃくちゃ頑張りたい気分である。

 

・・・が、今日は台風の日だ。

すでに雨がザーザーと降っている。

外に出て、ランニングをする訳にもいかない。

ジムのメンバーシップも持っていない。

運動にこのエネルギーを使うことはできない。

 

・・・しょうがない。

文章を書くかな。

書こうと思っていた、二千円札の話でも書くかな。

みんな台風で家に引きこもっているだろうから、良い時間潰しになるだろうな。

楽しい文章を書くのは、良いエネルギーの使い方だ。

 

・・・だめだ。

僕は、外でしか文章を書けない。

いや、家でも書けるけど、なかなか集中できない。

いつも上野あたりのカフェで書いているけど、台風接近で、どうせ開店していないんだろうな。

ほら、検索してみたら、よく行くスターバックスも、今日は臨時休業。

チッ、台風め。

俺のエネルギーがみなぎっているときに来るんじゃねえよ。

 

・・・待てよ。

本当に、全部のカフェが閉店しているのか?

繁華街の上野の店、全部閉じているのか?

開いているところ、あるんじゃないのか?

まず、ルノアールのホームページに行ってみた。

10月12日、全店休業いたします。

なるほどね。まあ、そうか。

賢明な判断でございます。

次に、プロントのホームページに行ってみた。

台風19号の接近に伴い、10月12日(土)のプロントチェーン各店舗の営業時間に関して、
臨時休業もしくは営業時間の変更をさせていただく可能性がございます

ムムム、「可能性がございます」とあるだけで、どの店が閉じているかは書いていない。

臨時休業の可能性もあるし、しない可能性もある、ということか。

次に、サンマルクカフェのホームページに行ってみた。

・・・書いていない?

台風に関する情報、一切載せていない?

Twitterアカウントも見てみたが、最新の商品のことについて書いてあるだけだ。

・・・ってことは?

もしかしたら?

もしかしたら、上野のサンマルクカフェは、商売熱心で営業している?

店を開けてくれている?

僕のような、台風にも関わらずエネルギーのほとばしっているこの人間に、コーヒーを出してくれるのか?

そうしたら、倍の値段でも出すさ。

ついでにクロワッサンも食べるさ。

このエネルギーを放出する力になってくれるなら!!

 

僕は、意気揚々に駅へと駆け出し、電車に乗って、上野駅に着いた。

時間は午前9時を回っている。

台風がさらに近づいたのか、雨がより強くなっていた。

だが、そんなことは気にしない。

僕が持ってきたのは、数年前に買った、1200円の大きな傘だ。

外出先で仕方なく買った時は、たかが傘に1000円も費やしたことに怒りを覚えたが、今となっては良い買い物をしたと思える。

良い傘は、こういう時の強い味方だ。

 

僕はまず、上野駅の近くのプロントへと向かった。

駅から出てすぐの交差点、人がまばらにしかいない。

コーヒー飲みながら、空いているプロントで文章書いたら、捗るだろうなあ〜。

そして、着いた。

上野のプロント。

臨時休業をしない可能性もある、プロント。

店内は、真っ暗になっていた。

貼り紙があり、「台風19号の接近に伴い〜」と、ここ数日間でイヤというほど見てきた定型文を見て、臨時休業か、と分かった。

まあ、良いだろう。

プロントにはさほど期待していない。

プロントは、ただの前座である。

本番は、サンマルクカフェだ。

ホームページにもTwitterにも台風のことなど載せるでもなく、新商品を載せているだけの、サンマルクカフェ。

きっと開いている。

多分開いている。

絶対開いている。

すでに濡れている足を一歩一歩進めながら、期待値が少しずつ上がっていった。

 

期待と不安を胸にアメ横をずんずか歩いていき、そして、ついにサンマルクカフェにたどり着いた。

・・・。

・・・・・・。

暗い。

閉まっている。

・・・。

ガッカリかよ・・・。

なんだよ、Twitterで新商品をあんなに押し出していたのに・・・。

台風のことなんか一切触れていなかったのに・・・。

ちぇっ・・・。

僕は、店の前で突っ立っていた。

サンマルクカフェから3mほど離れたところで、店内をじっと見つめていた。

入り口に貼り紙があったが、どうせ定型文なので、読みたくもなかった。

すると、サンマルクの隣の建物の人が鍵を閉めながら、ジロリとこちらを見てきた。

旅行代理店、HISの店舗の入り口を閉めようとしている。

鍵のジャラジャラとした音が聞こえた。

ジロリと見てきたその男性は、不快そうな、不機嫌そうな表情をしていた。

えっ?

僕は戸惑ってしまった。

どうして、僕にそんな表情をするのか。

むしろこっちが、そういう表情をしたいくらいなのに。

・・・あ、もしかして。

もしかして、勘違いされている?

僕が、サンマルクカフェではなく、HISに用があったのだと勘違いされている?

その男性は、「え? なに? 今日開いていると思ったの?」と、僕に言いたいのだろうか。

ちげーよ! 台風の日に旅行代理店に行かねーよ! コーヒー飲みたかったんだよ!

 

そのままアメ横を背にして、大通りへと出た。

やはり、ここも人はまばらである。

人よりも車の数の方が多いようだった。

が、大通りの反対側を見ると、どんよりとした曇り空の下、少し明るくなっていて、人が何人か集まっている店を発見した。

寿司屋チェーンの、すしざんまいである。

店の前に観光客が何人かいて、店内で人が動いているのが分かる。

その店の様子は、「サンマルクの悲劇」の後の、希望の光のように感じた。

信号を渡って店の前に着くと、店内に、店員とお客がいた。

店に店員とお客がいるのは、普段なら当たり前だが、今日に限っては、その光景は特別に感じられた。

店員だ! お客だ!

無人島に漂流した後、船を見つける時ってこんな感じなのだろうか。

当たり前のことに感謝したい気持ちになった。

 

だが、寿司は食べない。

僕の目的はあくまで集中して文章を書くことなので、寿司屋はそれにそぐわない。

貼り紙が一切されていないため、このまま午後も営業を続けるのだろうか、と逆に不安になりながら、僕はその場を後にした。

その時、店のメニュー表にあった、「24時間年中無休」という文字が目に入った。

そうか、24時間年中無休を守るために、今日も営業を・・・。

24時間年中無休・・・。

あ!

居酒屋!

確か、ここら辺に、24時間年中無休の居酒屋ってあったよな?

そこに行ってみるか!

鉄道のガードレールの向こう側、マルイの裏側あたりに、磯丸水産があったはず。

そこも、すしざんまいと同様、営業しているかも?

居酒屋はパーフェクトではないが、まあ、今日くらい、朝からお酒飲んでみようかな。

経験上、ビール飲むと、一定時間集中力は上がるんだよね。

よし! 行ってみよう!

 

・・・。

着いた・・・。

けれど、店、暗い・・・。

やってなかった・・・。

入り口に貼り紙があり、「台風19号につき〜」と書いてある。

その下には、「ラストオーダー、28時」と書いてあった。

28時!

今は33時半。

惜しいなぁ〜。

ラストオーダー、36時くらいにしてほしかったな。

どうせ、東京が暴風域に入るのなんて37時くらいなんだし。

ま、しょうがないか。

30時から36時なんてそうそう人来ないしね。

だいたい、30時とか36時なんて、誰もそんな時間の言い方しないし。

無理ないかな。

 

もう諦めて駅に戻ろうかな、と、再び歩き始めた。

そして、磯丸水産を背にして電車の高架の方に向かっていると、なんと、ここで開いている店を見つけた。

居酒屋、大統領である。

僕も友達に連れられて一度だけ来た事がある。めちゃくちゃ安くて、もつ煮込みが結構うまかったことを覚えている。

ほお。

磯丸水産はやっていないが、ここはやっているのか。

客は見えないが、店員はいるようだし、店内は明るい。入り口に貼り紙はない。

・・・ここで?

ここで文章を書く?

この店で、俺はラップトップを開け、ホッピーともつと一緒に文章を書くのか?

そんな風に考えながら、店をじっと見つめて突っ立っていた。

そうしていると、怖そうな女性店員さんから、ギロリと睨まれた。

僕を殺そうとしているのではないか、と思うくらいの眼光だ。

そんな風な目をするなど、またしても、「え? なに? 開いているとでも思っているの?」とでも思われたのだろうか。

いや、それはないか。

店員さんが歩いている店内は、開いていると思ってもおかしくない様子である。

だが、お姉さんの視線が怖かったため、どうせ文章は書けない。

僕は店を後にした。

 

そのまま高架の下を通って、御徒町駅に向かうことにした。

もう、諦めである。

もう、疲れた。

随分と雨足が強くなってきたため、また、ラップトップを背負ってずっと歩き続けていたため、疲れてしまった。

僕のほとばしるようなエネルギーは、台風の中の散歩に費やされてしまった。

靴下が濡れている。

精神的にも、疲れた。

そしてここで、歩いている途中、上半身の異変に気付いた。

ポツ、ポツ、ピト、ピト。

なんだか、肌に感覚がある。

・・・もしかして。

水滴が、落ちている?

俺の、頭に?

え? どういうこと?

僕は、反射的に傘の天井を見上げた。

そしてすぐに「うわっ!」と声を出してしまった。

ピト、と、水滴が僕の目に入ったのだ。

え? どういうこと?

・・・傘に穴が開いているの?

ここで、自分の頭を触ってみたら、だいぶ濡れていることに気付いた。

雨が傘から浸水して、僕の頭に小さな粒が降り注いでいたのだろうか。

最初は雨漏れが小さすぎて気づかなかったが、雨足が強くなるにしたがって、穴もだんだんと大きくなったのかもしれない。

えええ! これ、良い傘なんじゃなかったのかよ!

1200円も払ったんだぞ!

なんで漏れるんだよ!

まだ、台風の暴風域に入っていないのに!

その程度でやられるのか!

1200円!

 

驚き、失望しながら、御徒町駅にたどり着いた。

ここで、傘を下ろし、内側を見てみた。

・・・グッチョグチョ。

なんで傘の内側がこんなに濡れるのだろうか。

傘ってそういう仕組みだったのだろうか。

ここでも、周りの人が僕を見てきているように感じた。

「なんでこいつ、傘持ってんのに頭グッチョグチョなの?」と思われているのだろうか。

チッ。

コンビニで買うようなビニール傘を持っている人たちが恨めしくなった。

 

と、いうことで、台風の中、上野で開いていたのは、プロントでもサンマルクカフェでもなく、すしざんまいと、大統領と、僕の傘の穴でした。

 

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傘の内側