madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

madajimaの海外 シドニー編 その2 − バード

仕方ないので、ベルトを買いに行くことにしました。

探してみると、ZARAやH&Mがあるエリアがホテルから徒歩20分ほどのところにありました。

運ばれてきたフルーツジュースとクロワッサンとコーヒーを平らげ、すぐにジャージのズボンに着替えて、外に出ました。


ホテルの目の前の公園は、大きな木に囲まれていて、ものすごく空気がおいしかったです。

都会の真ん中とはとても思えませんでしたが、こういう公園の存在こそ、「住みやすい都市ランキング」上位の秘訣かもしれません。

その公園を抜けて、東京でいう表参道のようなショッピングストリートに出ました。

ブランドショップがずらずらと並んでいます。


そこですぐに目に入ったのは、一人のホームレスでした。

交差点で、「Hungry」と書いてある紙コップを持って、頭の上に掲げ、土下座をするような感じで顔を伏せています。

うわ、すげえな、と思いました。

完全に物乞っています。

ここまでして金をせがんでいるホームレスは見たことありません。

正直、町の中心で、なんの羞恥心もなくここまでする勇気があるなら、仕事の一つくらい任せたくなるな、と思います。

しかも、持っている紙コップに書いてある「Hungry」は手書きではありません。

オーストラリアのハンバーガーのチェーン店「Hungry Jack」の紙コップです。

そして、ロゴの「Jack」の部分を手で隠し、「Hungry」だけ見せているのです。

もはや、感心しました。

随分、クリエイティブです。

アイディアが斬新です。

「ホームレス・アイディア賞」みたいなのがあったら、確実にこの人が受賞するでしょう。


そんなホームレスがいるショッピングストリートのH&Mに入り、安いベルトを購入しました。

また、近くのモバイルショップでプリペイドSIMカードを買って、自分のスマートフォンに挿入しました。

20ドル(1600円)で10日間10ギガという、かなりの割安です。

ホッとしました。

ベルトとインターネットが手に入ったので、安心です。準備万端です。

あとは、観光するだけです。


とりあえず、歩いて、あの有名なオペラハウスの近くに行きました。

ただ、近くで見るとちょっと汚かったので、ガッカリしました。

何にせよ、たくさん歩いてノドが渇いたので、近くの駅のKIOSK的なところで水を買おうとしました。

水は見つかりました。

が、値段が書いてありません。

はあ? と思いました。

なんで値段が書いてないの?

時間帯によって変わるとか、そういう仕組みなの?

レジの店員に聞こうと思いましたが、レジカウンターに寝そべってスマートフォンをいじっているので、聞きづらいです。

ただ、とにかくノドが渇いていたので、何円でもいいや、と思い、750mlのペットボトルの水をレジまで持っていきました。

店員がかったるそうにバーコードを読み取ると、「5.99」と表示されました。

え?

5.99ドル?

480円?

うそでしょ?

750mlの水が、約500円もすんの?

僕は、この「水が500円ショック」のあまり、一瞬固まりました。

そして我に返り、慌てて財布を開けてコインを探しますが、どのコインが何ドルなのか何セントなのか、全然わかりませんでした。

なので、一番大きなコイン3つ選んで、カウンターに載せました。

レジの男性は、「面倒くさいな」と言いたそうな表情をしました。

「あのな、わかる? これは、50セントと20セント。足りないよ」

そうキレ気味に言われて、僕はなおさら慌てました。

あんなに大きなコインが1ドルもしないなんて、意味がわかりませんでした。

もはや、自分が持っているコイン一つ一つを確認する余裕はなくなったので、しょうがなく、自分が持っていた唯一の紙幣、50ドル札を出しました。

レジの男性は再び「面倒くさいな」という表情をし、20ドル札2枚と、コインを2枚寄こしました。

僕はそれを急いで財布に入れ、水のペットボトルを持って、ささっとKIOSKを後にしました。


ふう、恥ずかしかったぜ。

あの慌てっぷり、見事だったぜ。

でも、まあ、水をゲットしたから、忘れよう。

しょうがない、新しい国だとこういうこともあるさ。

とにかく、水を、飲もう。

ゴクゴクゴク。

ん?

待てよ?

5.99に50を出して、お釣りが、40ドルとコイン2枚?

コイン、2枚?

ありえなくね?

2ドルコインが2枚、ってのはわかるけど、あと1セントは?

もしかして、もらっていない?

はあああ?

もしかして、舐められた?

アジア人だからって、舐められた?

うーわ。

やられたわ。

オーストラリアは人種差別がまだはびこっている、って聞いてたけど、マジだったわ。

もう最悪。

日本に帰りたいわ。

コインがわかりやすい日本に帰りたいわ。

コインの大きさと重さが価値にちゃんと比例する、論理的で合理的な日本に戻りたいわ。

お釣りをちゃんとくれる日本に帰りたいわ。

自分の人種が差別されない日本に帰りたいわ。

オーストラリア、マジでわけわからないわー。


そんなことを考えながら適当にてくてく歩いていると、レストランが港にたくさん並んでいる場所にたどり着きました。

フェリーが行き来するのを見ることができて、雰囲気が良いです。

昼の12時ですが、あんまり人がいません。

どうせだったので、ここでご飯を食べることにし、適当なレストランに入りました。

レジで注文をする時、日に焼けたアジア系の女性が、笑顔で優しく対応してくれました。

番号札を持って席に座っていると、注文したフライドチキンと、サイドの豆のサラダが運ばれてきました。

先にフライドチキンをいただきます。

ぱく。

むしゃむしゃ。

う、うまい。

なにこれ、めっちゃうまい。

パリパリな感じにちょうどいい塩加減。

ああ、素晴らしいわ。

この豆のサラダも食うかな。

もそ。

もぐもぐ。

うわ、うまい。

豆もうまい。

俺の好きな、えんじ色の豆がふんだんに入ってる。

ピクルスもついている。

あー、半端ない。

チキンとサラダ片方ずつで十分うまいのに、それが合わさるとさらにうまくなる。

化学反応じゃ〜ん。

オーストラリア、良いじゃ〜ん。

こんな、日本で食べた事ないような良い味を楽しむ。

これぞ、海外の醍醐味よ。

いやー。楽しいわ。

ほほほほ。

ほら、そんな笑顔の俺にそそられて、鳥がやってきた。

真っ白い身体に、赤い足と赤いくちばし。

日本で見たことのないような鳥だな。

そんなに食いたいのか?

これチキンだから共食いになるけど、そんなに、食いたいのか?

あげねえよお〜。

こんなうまいもん、あげるわけないよお〜。

ほほほほ。


そんな感じでチキンを頬張りながら、電車の乗り方等をインターネットで調べました。

日本のSUICA的なのがあるようでした。

レストランを後にし、近くの駅に向かってそれを買い、電車を使って、ホテルに一度戻りました。

これから、荷物を軽くして、バスでボンダイビーチというところに行く予定です。

シドニーに行ったことのある人から、「絶対に行った方が良い」とものすごくおすすめされていたので、必ず行ってみたかったです。

僕はウキウキしながら、ホテルを駆け出すように出て、目の前の公園の隣にあるバス停を目指しました。

ホテルの目の前の道路をまず渡らなくてはいけないので、ホテルを出て左に曲がり、交差点を目指しました。

そして、自分から交差点まで10メートルくらいのところで、信号が青になりました。

オーストラリアの歩行者用の信号は、なぜか1秒くらいで青から赤に点滅し始めるので、僕は慌てて走り出しました。

案の定1秒で赤に点滅し始めたので、スピードを上げて渡ろうとします。

せかせかと歩く人たちの後ろを追いかけるようにして、横断歩道を渡りきりました。

そして、すぐのことでした。

バヒュン!!

そんな音がして、目の前が真っ暗になりました。

何も見えなくなりました。

一体、何が起きたのか。

激痛が走っています。

左目が、めちゃくちゃ痛いです。

眼球がモロに痛みを感じています。

頭が、混乱しています。

バヒュン! というのは、鳥の鳴き声に聞こえました。

また、目の前が真っ暗になる前に、鳥が飛んでいるのが一瞬だけ目に映りました。

鳥?

鳥が、なんで全速力で俺の目を狙うんだ?

さっき、フライドチキンをあげなかったから、その恨み?

それとも、同士を幸せそうに食べていた、その恨み?

まさか。

ここまで。


僕は歩道で立ち止まりました。

右目は痛くなかったので、左目に手を当てたまま、そおっと右目だけ開きました。

一緒に横断歩道を渡った人たちが、僕の方を振り返ってちらりと見て、「うわ、かわいそう」みたいな表情だけをして、見なかったふりをしているのが見えました。

ちょ。

何が起きたか教えてよ。

鳥?

本当に鳥なの?

混乱していたので、聞いてみたかったですが、それを聞く元気はありません。

それどころか、痛みのあまり、左目を中々開けることができません。

真っ暗なままです。

心臓がバクバクしています。

もしかして、俺、視力を失った?

左目の視力がなくなったの?

嘘でしょ?

でも、勇気を持って、左目を少しずつ開きました。

まぶたを上に上げるごとに痛みを感じましたが、ゆっくりと開けました。

なんだか、目がめちゃくちゃ乾いている感じがしました。

鳥の羽根がモロに当たったのか、と考えました。

そんなことを想像してゾッとしながらも、ゆっくり、ゆっくりと開けました。

そして、光が差し込みました。

左目に視力があるのが分かりました。

ちょっと感動しました。

ただ、少し、ぼやけています。

右目だけならハッキリ物が見えますが、左目だけだとボヤけます。

やべ、左目、本気でやべえのかも。

羽根が当たったのなら、何かに感染とかされているのかも

ちょっと、ホテルに一回戻ろう。

鏡で見てみたい。


僕は、左目を手で再び覆い、Uターンをして、信号を渡り、ホテルに戻りました。

ドキドキしながら鏡を見ました。

左目が充血していますが、そこまで深刻な充血ではなさそうです。

そして、気付きました。

コンタクトレンズだ。

コンタクトレンズが、外れたんだ。

左目だけぼやけているのは、そのせいだ。

逆に言えば、ダメージはそれだけだ。


それに気付いた瞬間、ホッとしました。

心の底から安心しました。

良かった。

コンタクトレンズ一つで済んだんだ。

っていうか、コンタクトレンズが防いでくれたんだ。

すげえ。

もし、俺がレーシック手術を受けて裸眼だったら、どうなっていたことやら。

確実にもっと深刻なことになっていたわ。

もはや、一生コンタクトレンズで生きるわ。

レーシックとか受けないわ。

だって、鳥にぶつかられるんだもの。


僕は予備のコンタクトレンズを左目につけ、ホテルを出てバス停に向かいました。

バス停まで歩いている間ずっと、僕は顔を下に向け、両手を両目の横に当てて、必死にガードしていました。

鳥の鳴き声がする度に、ドキりとしていました。


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チキンを狙う鳥、シーガル


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鳥にぶつかられた付近