madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

恋愛反省文 その5 - Another story

ぶっちゃけ、もう、ここから何も言いたくないですね。

ここから、思い出したくないことのオンパレードになります。

が、僕は反省しなくちゃいけません。

反省しなければ、きっと、また同じ間違いを犯してしまう。

そんな、気がしているんです。

人間は、やっぱりすぐ忘れちゃいますから。

自分が向上していくには、反省って大事なんだと思います。

人間の歴史は、反省の歴史ですから。

あ、あと、もちろん音楽も大事ですが。

 

付き合い始めてから、2ヶ月が経とうとした、5月中旬のことでした。

老子から、「5月26日の土曜日、空いてる?」と連絡が来ました。

「うちの両親と、海老男(海老子の兄)と、海老男の彼女でお好み焼き行くんだけど、madaoも来て、泊まっていく?」とのことでした。

「良いよ!」と僕はすぐに言いました。

実は、一度すでに実家にはお邪魔していました。

両親共に明るい人たちで、僕をすごく歓迎してくれ、笑い溢れる楽しい時間を過ごしていました。

なので、今回再び海老子の家族と会うことに、ためらいはありませんでした。

むしろ、海老子から予定を作ってくれることはかなりレアだったため、それが嬉しい気持ちの方が大きかったです。

とはいえ、少し、不安もありました。

セックスです。

23日の水曜日に会いましたが、海老子が生理中だったため、セックスはしませんでした。

そして、土曜日に実家に泊まることになったら、セックスすることはないでしょう。

10日ほど、間が空くことなってしまいます。

それは、きつい。

それは、アホみたいに、きつい。

もちろん、彼女がいないときに、10日どころか何年もセックスをしていないときがありましたが、ほら、ドラッグと同じで、一度し出したら、止まらなくなってしまうんですね。

付き合い始めて2ヶ月なんて、まさに真っ盛りな時期じゃないですか。

なので、そこが心配でした。

 

5月25日、金曜日になりました。

次の日に、海老子の実家に行って、海老子に会うことになります。

が、寂しくてたまりませんでした。

老子に会いたくて、柔らかい海老子をギュッと抱きしめたくてたまらなくなりました。

ですが、今日海老子は、実家で、地元の友だちと会っています。

どうしようもありませんでした。

なので、9時くらいに布団に入り、明日になるのを待ちました。

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

寝れません。

頭が色々もやもやしていて、寝れません。

こんなことなら、誰かと会って、お酒でも飲んでいたらよかったです。

でも、そんな都合よく飲みに行ける訳でもありません。

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

電話したいな。

声だけでも、聞けるといいな。

付き合い始めた時からずっと、「なんでも言い合える仲になるといいね」って言い合ってたもんね。

会いたい、寂しい、って思っていることを、伝えたいな。

 

僕は、この日、疲れていました。

仕事で忙しかった一週間が終わり、脳も身体も心も、完全に疲れ切っていました。

夕飯も、みそ汁と納豆だけで、おいしくお腹いっぱい食べたとはとても言い難かったです。

疲労していた脳と身体と心に、エネルギーが供給されていないのは明らかでした。

ですが、そんなこと、振り返らないと分からないものです。

「アホなこと考えていたな」

「相手にとって迷惑なことを考えていたな」

そんなこと、あとで振り返らないと、分からないんです。

 

「ごめん、今電話できるかな?」

僕はそうメッセージを送りました。

それからが、負の連鎖の始まりでした。

 

10分後、「いいよー」と返信が来て、電話が来ました。

が、僕は電話をサイレントモードにして、目をつむっていたため、気がつきませんでした。

目を開け、着信に気がついてから、すぐに折り返しました。

「ん、どしたー?」

声で、あちらがイラッとしているのがわかりました。

まあ仕方がありません。「電話していい?」と聞かれて、電話をしてたのに、無視されたのですから。

「ごめんね、サイレントモードにしてて」

「おっけー」

「あとごめんね、友だちと家族といるところを邪魔して」

「ううん、全然いいよー」

・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。

僕は黙りました。

電話が繋がったのはいいものの、正直、何をどう言っていいかわかりませんでした。

心が重く、沈んでおり、口も同様に重っ苦しい感じがしました。

老子は、「え? どうした?」と不思議そうに、そして苛立たしい感じで言ってきます。

まずい。

老子がせっかく、友だちと両親から離れて電話をくれたのに、何も話せないのでは意味がない。

相手の時間を奪ってしまっている。

僕は、やっとの思いで声を出しました。

「会えなくて寂しいんだけど・・・」

すると、勝手に涙が出てきました。

声もしわがれてしまいました。

手で丸めた紙のように、頭と心がぐちゃぐちゃになっている気がしました。

身体と、心と、頭が疲れきっていました。

そして、あまりに疲れ切っていたため、それに気付けませんでした。

そんな自分が非常に情けなく、こんな自分ではフラれてしまう、とか考えました。

彼氏たるもの、もっとちゃんとしていなければ。

「あっはっはっは!」

すぐに聞こえてきたのは、あざ笑うかのような海老子の大爆笑でした。

「あははは! そっかー、会いたいのかあ」

僕が泣いているのはきっと気付いているのでしょうが、いや、もしかしたら気付いた上で、笑っていました。

僕は、血の気がサーっとさめるのがわかりました。

涙も、目から身体の中へと戻っていくのがわかりました。

電話をする前に、僕は心のどこかで、この感情を伝えることで、身体は離れていても心は近くに感じることができるだろう、と期待していたことに気がつきました。

僕は、この笑いに、ものすごくイラッとしたのです。

腹の奥底に、青い火のような何かがあるのを感じました。

小学生の頃の、喧嘩をして、どうすればわからなくなって泣いて、泣いているのを馬鹿にされて、怒って、みたいな、そういうのとは違いました。

怒っているというより、さめている感じでした。

「あ、やべ、もしかして怒ってる?」

僕が沈黙を続けていると、海老子は、馬鹿にするトーンを保ったままそう言いました。

「やっべ、これ、笑っちゃいけないやつだったか・・・」

慰めてもらうというか、僕の感情に寄り添ってもらうとか、僕を理解してもらうとか、そういうことを少しでも期待していた自分が、哀れに思いました。

自分、なんでこの女に会いたくて、泣いていたんだろう。

自分、なんでこの女に会えなくて、寂しかったんだろう。

自分、なんでこの女を、好きになったんだろう。

「もしもーし、まだいる?」

老子は、再び嘲笑する声で話してきます。

「いるいる、ごめんごめん」

「あ、よかった」

そして、再び僕は黙りました。

必死に、必死に、伝える言葉と伝える感情を選んでいました。

正直、何も言わずにすぐに電話を切りたかったですが、我慢をしました。

そんなことを知らない海老子は、たまらず声を出します。

「・・・もしかして、怒ってる?」

老子は、あざ笑うような声をやめて、申し訳ない声を出そうとするのが分かりました。

けれども、心の底では馬鹿にしているのが、よく伝わりました。

老子は、嘘をつくとすぐに分かるタイプでした。

「・・・海老子は、俺が悲しい時に、笑ってくるんだなあ、って、海老子のことを知れてよかったよ」

「でも、『会いたい』って言われたら、笑うしかないじゃん」

「もしかして、俺の両親が亡くなった時も、海老子は笑うの?」

「・・・それは、笑わない」

「なんで?」

「・・・人の生死が関わっているから」

「・・・じゃあ、おれが海老子の生理痛を笑ったら、海老子はどう思う?」

「生理痛か・・・」

「おれは、生理痛の痛さなんて全然分かんないけど、海老子が痛がっている時は、できるだけ理解しようとするし、海老子が出来るだけ楽になるようにするよ。笑うなんてのはもっての他で」

「わかった! ごめん! 笑ってごめん」

「いや、全然思ってないでしょ、ごめんだなんて」

「う・・・」

「別に、おれのことを全部わからなくてもいいよ。でも、理解できるように・・・」

「私はmadaoじゃないんだから、madaoのことなんかわかるわけないじゃん! どうしてほしいか、言ってくれないとわからないよ」

「・・・」

「言ってくれれば、それをやるから」

僕は、再び黙りました。

再び、イラッとしたからです。

老子が、僕のことについて考えるのを面倒くさがっていることに、ガッカリしました。

僕がどう考え、どう思って、どういう気持ちになっているか、それを考えるのが面倒だからこそ、それを全てショートカットして、『言ったことだけやるから、言って』という言葉が出てきた、そんな気がしました。

「・・・」

僕は言葉が出ませんでした。

10秒ほどでしょうか、僕が黙ると、「もう、この沈黙、何? 本当に嫌なんだけど。どうしてほしいの? 何をしたらいいの? こういう真面目な話、本当に苦手」と、海老子はイライラを露わにしました。

僕もイライラしていましたが、『確かに黙っているのは申し訳ないな』と思い、色々と質問をしました。

「『電話をしたい』ってメッセージを見たとき、『めんどくさいな』って思った?」

「ううん、別に。『電話したいんだなー』って思っただけ」

「今、『俺のアパートまで会いに来て』って言ったら、来てくれる?」

「あー・・・友だちいるから難しいけど、そしたら『来なよ!』って言う」

いや、それじゃ、ギュッと抱きしめたり、セックスしたりできないじゃん、と言おうとしましたが、やめました。

ですが、そんな感じのことを、たくさん聞きました。

すると、だんだんと、僕の怒りもなくなっていきました。

答えを聞いているうちに、「あ、結局、海老子は、俺と方法が違うだけで、俺のことを想ってくれているんだ」と思うようになりました。

考え方から性欲まで、お互いに全然違う人間だし、しょうがないよな、と。

また、ずっと友達や家族と楽しく笑いながら話していて、その後すぐに、僕のことを心の底から想うなんて、できないよな、とも思いました。

一方で、「真面目な話が嫌い」と何度も言って、笑いが溢れる馬鹿話をしてばかりだった海老子と、この機会に色々聞けたのはよかったです。

そうやって、だんだんと互いの怒りがほぐれていきました。

笑いも混ざるようになり、冗談も言い合うようになりました。

自分の心が、ホッとしたのを感じるようになりました。

 

すると、海老子の父親と猫の鳴き声が聞こえて来ました。

「あ、こら」と父親が言いますが、明らかに芝居がかかっていました。電話をして1時間ほど経っていたので、恐らく様子を見に来たのでしょう。親子そろって嘘が下手です。

「ごめん、切るね。明日よろしく!」

老子もそれに気付いたのか、すぐに電話を切ろうとしました。

僕も、残された友だちや両親のことを考えて、申し訳なく思い、「ごめんね、話してくれてありがとう!」と早口で伝えました。

そして、電話が切れました。

「付き合っているのが海老子でよかった」

疲れ果てている僕の心は、そう思いました。

それから、僕は眠りにつきました。