madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

恋愛反省文 その1 - 叫び 祈り

反省文って、書いた事ありますか?

ほらほら、学生の時、あったじゃないですか、反省文。

「友だちを殴ってしまい、申し訳ありませんでした。もうしません」みたいな。

「女子生徒のスカートをめくってしまい、申し訳ありませんでした」みたいな。

あれって、キツいですよね。

精神的な拷問ですよね。

僕も、一回だけ書きましたよ。

 

この時、中学一年生で、一階の教室でした。

掃除の時間です。

教室の外の地面に、何かが落ちていると思いました。

窓が開いていると思い、顔をニョキッと出して、覗き見ようとした時です。

パリーン!

あの、嫌な音がしました。

ガラスが、割れたのです。

開いていると思った窓ガラスは開いておらず、僕が頭をぶつけて、割ってしまったのです。

開いていると思ったら開いていない窓ガラスなんて、どんだけ透明だったんだよ、って話ですよね。

僕も、自分自身が犯したミスを、自分で信じられませんでした。

 

この時、なぜか、クラスでは空前の「ガラスが割れるブーム」でした。

窓の近くで取っ組み合いになりガラスが割れた、教室内でキャッチボールをしてガラスを割れた、と二日連続でガラスが割れ、そして、その流れに身を任せるように、今日は僕がガラスに頭突きをした、ということなんですね。

これで、三日連続になった訳ですよ、三日連続。

パリーン、という音がした途端、教室のあちこちから「またかよー」と言う声が聞こえました。

 

そして、反省文です、反省文。

一瞬にしてあだ名が「ヘッドバット」になっただけでもキツいのに、放課後、原稿用紙1枚分、反省文を書く事になったんですよ。

まさか、この自分が、この反省文を書く日が来るとは思っていませんでした。

僕は、比較的、優等生でしたからね。成績も良く、部活も熱心にやっていました。

ですが、いかに優等生とはいえ、この反省文の大変さには困りましたね。

だって、「窓が閉じていることを知らず、外の地面をのぞこうとしてしまって、非常に申し訳なく思います。次からは、窓が開いているか閉じているかをしっかり確認してから、外の地面をのぞこうと思います」

これで終わりですからね。

これ以上、書く事ないですからね。

でも、まだ87文字です。87。

あと300文字超、どうやって書けば良いか、純粋にわからなかったです。

 

ここで、友達が一人、忘れ物を取りに教室にやって来ました。

その友達は、「よう、ヘッドバット」とからかうように言ってきます。

友達の、madajimaです。

「ちょっと。これ以上、何を書いていいかわかんないんだけど」と僕は困った顔で言いました。藁にもすがる思いでした。

すると、「どうして不注意だったのかを書いて、伸ばしてみれば? 理由、っていうか、状況、みたいな」と、madajimaは言います。

そしてmadajimaは続けて、「あれじゃん、クラスのガラスが割れるのが2日連続だったことも書いてみれば?」とも言いました。「悪い流れを断ち切れませんでした、って」

「それ、サッカー選手の試合後のインタビューじゃん」と僕はツッコミを入れます。

「悪い流れ、と言えば、アルビレックス新潟が2連敗しているからじゃね?」とmadajimaは笑って続けます。

「それは、madajimaが機嫌悪い時の理由じゃん」

「じゃあ」とmadajimaは何かを考えています。

「ガラス屋さんの陰謀じゃね? ガラスが割れれば割れるほど、儲かるんでしょ? ガラス屋って」

「あ」と僕は言いました。「それ、良いかも」

「え?」とmadajimaは驚きます。「良いの?」

「だって、ガラス屋のせいだよ。悪いのは、僕じゃなくて、ガラス屋が、何か『ガラスを割りたくなるウィルス』でもまいたせいだよ」

「いや、人のせいにするのは良くないと思う」

「madajimaが言ったんじゃないか」

「あれだな、でも、目に見えない流れ、っていうか、そういうのはあるはずだと思う。サッカーにもあるし」

「またサッカーじゃん」

「野球にもある。甲子園の魔物、みたいな」

「ああ、あるね」

「だから、『きっと、甲子園の魔物ならぬ、ガラスの魔物がいます』って言えば大丈夫だよ。それで、『他の人が割らないように、注意するようにします』って繋げれば良いんじゃない?『ガラスの魔物から、クラスメイトを救います』って」

そう言ってすぐ、madajimaは、「うわ、それ、めっちゃ良いアイディアじゃん」と自分で自分をほめるように言っています。

僕も少し感心し、「なるほど。過去は変えられないけど、未来は変えられないしね」と言うと、madajimaはすぐに「そういうことだよ!」とさらに嬉しそうにしました。

「やったな。未来のことは、無限に書けるよ」

madajimaは、そう言って僕の肩を叩きます。

「まあ・・・そうだね」

「ま、頑張って。結局、不慮の事故なんだから、しょうがないし。なんとかなるよ。じゃあな!」

そう言って、madajimaは、手を振りながら颯爽と去って行きました。

僕は「周りにガラスへの注意を喚起する」旨の反省文を書き、原稿用紙1枚を埋め、教務室にいる先生の元へと持って行き、先生から「まあ、しょうがないよな」と言われ、無事に解放されました。

 

さて、この、中学1年生から10年の時が経ちました。

そして、madajimaと、久しぶりに会う機会がありました。同級生の結婚式です。

この時、僕は悩んでいました。

とある、女性とのことです。

悩みすぎてて、もはや、その女性の事しか、頭に浮かびませんでした。

当時は、正直、仕事もままならなかったです。

もちろん、友達の結婚式どころではありませんでした。

「なんで、女性関係で悩んでいる俺を招待したの? なんでこのタイミングで結婚式をやるの? バカなの? 空気読めないの?」とも思いました。

もちろん、それは口には出さず、顔にも出さず、僕は、久々に会ったmadajimaと話し込みました。

madajimaは、僕がガラスを割った反省文を書いていた時のように、笑顔で、あっけらかんと、僕の話を聞いてくれました。

 

僕は、僕の悩みをmadajimaに一通り話しました。

すると、madajimaは、「これ、ブログにして良い?」と笑顔で言ってきました。

「へ?」と僕は驚きます。「ブログ?」

「俺が、今の話を、そのまんまブログにまとめる、みたいな。もちろん、全部匿名なんだけど。載せていい?」

僕は、あまりに想定外の反応に、驚くしかありませんでした。

madajimaは続けます。「自分の悩みとかって、全然知らない人に話すと、気が楽になるらしいよ」と続けます。

「ま、俺も今、書くことないしね。ブログに書くような面白いこと、そんな起きないから、他人のを書きたいなあ、って思い始めてて」

「はあ」

「あと、今の話、っていうか悩み、超おもしろいし」

「はあ」

僕は、久々に、自然な笑みを浮かべていました。

自分の、このツラい、ツラい悩みが、「おもしろい」と思われるなんて、なかなか想像できなかったからです。

そして、自分の悩みが笑われる事に、嫌な感じはしませんでした。

 

とはいえ、この、「自分の女性関係をブログに書く」というアイディアは、自分の頭の許容範囲外の事だったため、「ちょっと、考えさせて」とこの場では言いました。

「俺は暇だし、いつでもいいよ」とmadajimaさんは言い、その日はそれで別れました。

 

家に帰って、布団に横たわり、考えました。

自分に起きたことを、madajimaが書いて、載せる、って、どういうこと?

なんなの、それ。

俺に、madajimaに、一体なんのメリットがあんの?

 

そこで、僕は、あの、反省文の時のことを思い出しました。

「ガラスを割りたくなるウィルス」にかかり、ガラスの窓に頭突きをして、割った時のことを。

あだ名がしばらく「ヘッドバット」になった時のことを。

教室で一人寂しく、反省文を書いていた時のことを。

反省文に詰まっていた時に、madajimaが助けてくれた時のことを。

 

そして、思いました。

また、今回も、madajimaに、助けを借りよう。

これは、あれだな、自分が反省文を書くんじゃなくて、自分が話して、madajimaが反省文を書いてくれるような、そんな感じなんだな。

自分でなんて、とても反省文書けないから、今の心境じゃ。

今の自分の心の中とか、まじ訳わかんないし、きついし、穴が入ったら潜りたいし、山があったら登りたいし、空があったら飛び立ちたい。

でも、心のどこかで、穴に潜るのが怖くて、山に登るのが怖くて、空に飛び立つのを怖がっている、そんなところがある。

何をしていいのか、何をしたいのか、全然わからなくて、足を踏み出せない。

ブログを書いてもらってどうなんの? 炎上しちゃったりしない? 個人が特定されたりしない? っていう思いもある。

 

でも、さ。

でも、もう、どうでもいいよ。

確かなのは、この状況から抜け出さなくてはいけない事だ。

この、死んでいるように生きるのを、やめる事だ。

そして、俺は、その状況から抜け出す方法を知らない。

だから、もう、madajimaに話してみよ。

それでこの気分が治らなかったら、madajimaにヘッドバットしよ。

ヘッドバットしたら、とりあえずなんとかなるでしょ。

生きている心地はするでしょ。

 

そう決めた僕は、madajimaに電話をしました。

「いいよ。ブログ、載せなよ」と僕は言いました。

すると、madajimaは、「オッケー。実は、もう、書き始めてたから、今から送るね」と平然と言います。

「・・・は?」

「いや、面白かったから、ついもう書いちゃってたから、それで、説得しようかな、って」

「こわいわ、お前」

「え?」

「今度会ったら、ヘッドバットするわ」

「え?」

僕は、久々に自分の部屋で爆笑していました。

 

さて、その、僕がmadajimaに相談した内容が、次回から始まります。

書いているのはmadajimaですが、経験したのは、僕、madaoです。

よろしくお願いします。