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あらすじは↓
ほぼ全員が違う国籍のマダレンジャーは、一切協調性が無く、ウォームアップもままならない。
だが、良いニュースは、ライバルと目されたサイボーグ軍団にサイボーグがいなかったこと。
悪いニュースは、ケイン・コスギ率いるケイン・コスギ軍団が強そうなこと。
良いか悪いかわからないニュースは、同期の可愛い女の子、ピンクが応援に来てくれて、ビールをガンガン飲んでいることである。
なんと、2連覇中のサイボーグ軍団が、初戦でケイン・コスギ軍団に1-0で破れた。
そして、ついに、我らがマダレンジャーの出番である。
マイペース軍団と言っていいほどのバラバラさだが、試合直前になってやっと全員集まった。
そこで、ホワイトが僕に話しかけて来た。
「俺とmadajima、どちらかが必ずピッチにいるようにしよう」
「そうだね。しっかりとバランスを取れるのは、僕ら2人くらいだし、7分間だけだから、守備の方がずっと大事だ」
「最初、どっち出る?」
「ホワイト、先に出て」
「オッケー」
いやいやいや、ホワイトを先に送り出したのは、ビビってたからではないですよ。
緊張していたから、ベンチスタートしたかった訳じゃないですよ。
ただ、様子を見たかったんですよ。
どんなスピードかなあ、どんなテンポかなあ、って。
そういうのを見た上で入った方がやりやすい、ってことですよ。
そして、レッド、ブルー、イエローとホワイトがピッチに入った。
グリーンがゴールに入っている。
ピッチの脇には、僕とパープル、ブラックがいる。
試合が始まった。
そしてすぐに、相手のレベルがそこまで高くないことがわかった。
普段の練習通りの感じなら、レッドやブルーがポンポン点を取ってくれるだろう。
だが、そううまくもいかない。
こいつら、めっちゃ緊張してるわ・・・。
ボールを持っても、全然周りが見えてねえ・・・。
マイペースだったくせに、全然調整できてねえじゃねえか・・・。
特にレッドが緊張していた。
チームで一番の顔と身体つきと技術があるのに、実力の半分も出せていない。
とはいえ、ピンチになることもなかった。
ベテランのホワイトが淡々と、攻撃をさばいていたおかげだった。
そして徐々に、緊張が解けてきたのか、イエローやレッドが前に抜け出して、チャンスを作るようになってきた。
点を取れそうな気配だけがあり、取られそうな気配はない。
そして、ついに、イエローとブルーのコンビネーションで、ブルーがゴール隅にボールを入れた。
うおおおお!
1-0!
チーム全員がホッとする。
ブルーもイエローも、ガッツポーズしたりすることなく、黙々と自陣に戻ってくる。
「ぶるううううううう」と僕は叫んでいた。
「かっこいい!!」もはや観客気分である。
だが、すぐに失点し、1-1の同点となった。
失点で相手に火がついたのか、急にめっちゃ攻めてきたところを、抑えきれなかった。
レッド、ブルー、イエローは少し前がかりになっていたのか、守備にもどらなかったせいもある。
ホワイト1人では攻撃を止めきれず、ゴールを決められた。
めちゃくちゃ喜んでいる相手チーム。
「俺のせいじゃないぜ」みたいな表情をする、レッド、ブルー、イエロー。
ま、まずいな。
引き分けは、まずい。
ケイン・コスギ軍団よりも、サイボーグのいないサイボーグ軍団よりも実力は下であろうこのチーム相手に勝ち点を落とすことは、あってはならない。
試合時間7分のうち、半分以上は過ぎただろう。
絶対に勝たなきゃ。
絶対に、勝てる。
俺が出るしかない!
「レッド!俺と代われ!」
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さあ、ついにmadajimaがピッチに登場しました。
あまり冴えなかったエース、レッドに代わっての登場です。
ああっと! しかし、madajimaは、ジャージを着たままで、ユニフォームになっていない!
チームメイトに声をかけられ、急いでジャージを脱ぎ、ピッチに戻りました。
非常に、珍しい光景ですね。
緊張しているんでしょうか。
さて、松木さん、彼には一体どんなことを期待しますか?
んー、ちょっと彼のことはよくわからないんだけどねえ、ゴールを期待しますよ。ゴール。
まずは、積極的にシュートを打ってほしいね。シュート。
ちょっと、シュートが少ないよねえ〜!
そうですか。ありがとうございます。
あ、そして、ブラックもブルーに代わって入りましたね。
松木さん、ブラックはどうでしょう。寒そうに、ユニフォームの下に、長袖のTシャツを着ているようですが。
フィリピン人には、日本の冬はちょっときついのかもねえ。あはは。
でもね、足の裏を使って、クイクイっとディフェンダーを抜いていくの、期待したいねえ。クイクイっとお。
そうですか、ありがとうございます。
さて、マダレンジャーのキックインです。
ホワイトがボールを蹴り、ピッチ中央のイエローに渡しました。
相手は疲れているのか、ボールを取りに来ません。
そして、ああっと! madajimaが左サイドを前に駆け上がっている!
前がかりの相手の不意を突いてのダッシュだ!
そのmadajimaにイエローからボールが通る!
madajima、あとはゴールキーパーを残すのみ・・・。
ところが、あーっと! 相手DFに追いつかれてしまった!
madajima、シュートは打てず!
おい、シュートだよ、シュート!
GKとの1対1に持ち込んで、ボールをゴールに流し込むつもりだったんでしょうか。相手DFに素早く詰められてしまいました。
うーん、madajima、あまり足が速くないねえ。
あー! だが、ボールを奪った相手は、攻撃を急いでしまい、ブラックが難なくボールを奪いました!
ハーフライン上でブラックがボールを持っています。
右でイエロー、左でmadajimaがボールを呼んでいます。
だが、その両方にパスをすることなく、シュート!!
意表を突きましたが、DFの足に当たって、左サイドのコーナーキックです。
良いよお、まずはシュート打っていくの、良いと思うよ、うん。
左サイドからのコーナーキック、madajimaが蹴ります。
ここで、ブラックがmadajimaの近くまで寄って行きました。
相手は、ゴール前を固めているため、ブラックにはあまりついてきません。
madajimaはそのブラックにパス。
ブラックが、すぐにmadajimaにパスを返します。
madajimaは、再びブラックに返します。
それをブラックがシュート!
ああ! 決まった!
おおおお!
ブラックはmadajimaからリターンを受け取ると、今度はmadajimaではなく、ゴールにパスをしました!
いやあ、パスと同じフォームだったから、キーパーも反応が遅れたねえ。
シュートは右隅下に吸い込まれました!
ブラックのゴールで2対1!
観客はものすごい盛り上がりです!
「Go! Go!」と叫んでいます!
「イエエエエエス!」と雄叫びをあげています!
おお、すごい盛り上がりだねえ。
さあ、試合再開となりました。
マダレンジャー、再び失点を許さずに試合を終えられるのか!
相手は再び同点を狙って猛然と攻撃して来ます。
ただ、ミスが多く、ホワイトとmadajimaを中心に簡単に防ぎます。
そして、ここで試合終了の笛!
マダレンジャー、初戦を劇的な勝利で飾りました!
いやー、非常に劇的だったね。
決勝点のブラック、良いねえ、本当に。良い選手だよ。
松木さん、解説ありがとうございました。
マダレンジャーについて、印象を伺っても良いですか。
そうだねえ。
ポテンシャルは、すごくあると思うんだよ。
でも、マダマダ本領は発揮できていないと思うねえ。マダ!
ありがとうございました。
続きます。