madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

銀座の恋活パーティで出会ったバンダナの子 その8

その1はこちら

あらすじは↓

今、「良い人がいる」と話すバンダナの子。

誰なんだろ、それ。

このコミュニティの中にいるのだろうか。

もしそうだったら、すげえ嫌だなあ・・・。

だが、だんだんと、それどころではなくなっていき・・・。 

 

セミナーが開始になり、新潟さんの話が始まった。

新潟さんが立って話すプレゼン形式かと思ったら、ガタイの良い、見るからに営業マンみたいな人も壇上にいて、その人が新潟さんに質問をする、インタビュー形式のようだった。

 

「最近、新潟くん、調子良いみたいじゃん」

「いやいや、そんなことないっす」

新潟さんは、壇上でマイクを持っても物腰低く、屈託のない笑顔で、頭を下げて言う。

 

へえ、新潟さん、調子良いんだ。

でも、なんで、調子良いってわかるんだろ。

ってか、なんの調子?

新潟さんの、舞台監督の仕事の調子が良いってこと?

 

「新潟くんのチーム、今月は新規何人?」

「えーっと、8人ですかね」

「おー、すごいじゃん! その前は、新規何人だったの?」

「その前は、7人ですかね」

「え! 7人新規で、今月また8人なの? 何が起きてるの?」

「いやー、僕は何もしていないんですけどねえ」

「何もしていないで、こんなことは起きないでしょー」

 

は? なんの話?

とりあえず、舞台監督の話ではなさそうだ。

で、新規って、何?

 

それから、「それでは、新潟くんチームの新規メンバー、壇上に上がってくださーい!」とインタビュアーが言った。

すると、隣から、バンダナの子に肘で小突かれた。

「自分のことだよ」と、当然のごとく言われるので、え? と驚いてしまう。

「新規ってなに?」と思ったら、自分のことだったのか。

新「潟」インフルエンザのことかと一瞬思ったけど、まあ、違うよな。

僕はとりあえず、通路に出て、ステージに上がった。

 

すでに、7人が壇上に上がっていた所に、いそいそとついていく。

何も知らされておらず、急だったので、かなり心臓がバクバクしていた。

席がみっちり埋まっていて、え、何これ、と思ってしまう。

こえーわ。

 

だが、一人一人マイクを持って自己紹介をするわけでもないらしく、新潟さんが僕たちの名前を順に読み上げていくだけだった。

「白いセーターの背の高い彼が、madajimaです」と言った時に、僕は礼をして、拍手をもらった。

緊張が収まり、なんとなく落ち着く。

 

僕たちが壇上に立ったまま、新潟さんとガタイの良いインタビュアーさんが、再び、僕によくわからない話をしていた。

「新潟くんのチームでは、新しい人にはまず何をやってもらうの?」

「ああ、それはもう、キャッシュフローゲームですね」

「ああー、なるほど。そこからなんだ」

 

キャッシュフローゲーム?

それって、あの、「金持ち父さん貧乏父さん」の著者、ロバート・キヨサキが売っている、ボードゲームのことだよね。

俺、やっていないんですけど。

聞いていないんですけど。

誘われていないんですけど。

 

「それじゃあ。キャッシュフローゲームの感想を聞いてみようかな。それじゃあ、今壇上にいる新規の方々で、すでにキャッシュフローゲームをやった、っていう人、手をあげてください」と、インタビュアーさんが言う。

すると、僕以外の全員が手を挙げた。

「madajimaウケるね」と、知らない声が客席聞こえてきて、バカにされたような感覚がする。

なに、この仲間外れ感。

俺だけ、キャッシュフローゲーム、やってないんですけど。

聞いていないんですけど。

誘われていないんですけど。

 

手を挙げた人のなかの一人が、キャッシュフローゲームの感想を言ったあと、僕たち新規の8人は、壇上から降りることになった。

 

席に戻ると、バンダナの子や周りの人たちに、ハイタッチを求められた。

意味わからん。

俺、何もしてないやん。

キャッシュフローゲームすらしていないのに。

ムムム、という顔のまま、ハイタッチに応じた。

 

再び、壇上二人の話が始まった。

「うちのチームは、リーダーに任せて、頑張ってもらっているんで」

「新潟くんは、何も干渉しないの?」

「まあ、ほぼ」

 

話が全く見えてこない。

リーダーって、誰だろ。

バンダナの子は、リーダーなのかな。

一体なんの話をしているのか、想像しながら聞くので精一杯だ。

 

すると、「それでは、新潟くんチームのリーダーの人たち、壇上に上がってください!」

わしゃわしゃと、経済塾やら交流会で見たことある顔の人たちが、壇上の方に集まって来た。

「多いな!」と、ガタイの良いインタビュアーが突っ込む。

「新潟くん、15万達成している人たちだけ、名前呼んで」

わかりました、と、新潟さんは頷き、名前を5人呼んでいって、呼ばれなかった人たちは、頭を下げて客席に戻っていった。

 

15万達成している人?

15万円、ってことかな。

それとも、このコミュニティだけで使われる、単位みたいなものがあるのだろうか。

ペリカみたいな。

 

だが、その疑問をどうこうする前に、僕は驚いてしまう。

なんと、呼ばれたリーダーの中に、榮倉の子がいたのだ。

 

えー!

僕は口を閉じられなくなった。

榮倉の子って、そんなにすげえの?

「新潟さんに選ばれし5人」みたいな存在なの?

前に、「スタッフしている姿が初々しくてかわいい」とか思っちゃってたけど、なんかすげえ恥ずかしいわ。

「入社3年目が新卒の女の子に惚れる感じ」とも言ったけど、新卒だと思っていた子が、実は中途採用のベテランだった、みたいな衝撃。

もし、榮倉の子がすでに起業していて、毎月副業で15万稼いでいるとかだったら、なんかもう、自分バカじゃね? とかなっちゃうね。

こえーわ。

 

また、最初にマイクを持ったリーダーの男性が、「ベンツ、買いましたー!」とか言っているので、なおさら焦ってしまう。

ベンツって、あのカイジがいたずらしたくなるほどの高級車でしょ?

その男の人とは何度か話したことがあったが、ベンツを買えるほど稼いでいるとは、思いもしなかった。

リーダーって、そういうレベルなの?

こえーわ。

このコミュニティ、こえーわ。

 

それから榮倉の子にマイクが回ってきたが、一切緊張した様子はなく、快活に、堂々と話していた。

簡潔に、まとまった話をして、次の人にマイクを渡す。

すげーな。

榮倉の子、すげーな。

緊張、一切しないんだもの。

俺と違って。

きっと、キャッシュフローゲームをやっているんだろうなあ。

俺と違って。

 

そうやって、リーダー全員分の話が終わった。 

が、内容が全然よくわからなかった。

「たくさん現場に行って」

「目標達成のために」

「みんなの目標になれるように」

そんなことを、みんなが口を揃えて言っていたのが印象的だったが、僕は、何が「現場」で、何が「目標」なのか、想像するのも難しい。 

 

一方、僕以外の人は全員、うなずいたりしたり、リアクションを取っている。

つまり、話の内容を理解しているようだった。

 

ムムム。 

キャッシュフローゲームをしていないのも、僕だけ。

話の内容を理解していないのも、僕だけ。

 

僕は、バンダナの子に「現場ってなに?」「15万の単位って、ペリカ?」とか聞いてみたかったが、集中して聞いているようで、聞きづらい。

ガタイの良いインタビュアーと新潟さんと会話が続いていたが、話の内容を理解できないまま、ずっとムムム、という顔をし続けるしかなかった。

 

やがて、新潟さんが壇上から降りた。

そして、違う人が出てきて、インタビュアーと話を始めた。

 

再び、「目標達成してみんなと喜びたい」「もっともっと一緒に成功する人を増やしたい」「人生をもっと良くしたい」というフワッフワな、あいっまいなフレーズのオンパレードだった。

  

madajimaは激怒し始めた。

なんでこれに誘った?

新潟さんは起業の話も、舞台監督の話もしていなかった。

他の人も、仕事の話や、実際に何をやっているかを、一切話していなかった。

ただただ、コミュニティの人数の増やし方を話していただけだった。

なに、この仲間外れ感。

キャッシュフローゲームもやってないしさ、俺。

なんで、これに誘われたの?

 

もしかして、バンダナの子、「初参加の人を連れて来たら、前に座れる」という特典を得たいがために、俺をこれに誘ったの?

何それ。

それで「来た方が良いと思う」って言ってきたの?

こえーわ。

じゃあ、事前知識くらい教えてくれよ。

あ、もしかして、明日、クリスマスイブの午前に誘われていた「カリスマさんのセミナー」も、同じ理由?

初参加の俺を連れて行けば、前の方に座れるから、誘っているだけなの?

「きゃー、カリスマさんだ! 近くで光栄だわ!」とか言いたいの?

 

怒り心頭、怒髪衝天だわ。

そんなんで、俺の大事な12月23日を奪われてしまったのか。

・・・暇だったけど。

何も予定なかったけど。

今日の、アホみたいにかわいいバンダナの子に会えてよかったけど。

でも、怒り、覚えるわ。

四字熟語通り、髪の毛も立つわ。

 

セミナーが終わり、バンダナの子やムネリンなど、いつもの10人ほどのメンバーで駅に向かった。

バンダナの子が、「madajima、どうだった?」と聞いてくる。 

僕は、ため息をつくように、うーん、と言う。

微妙。なんか、何言っているかわかんないし。

「最初はそんなもんだよ。わからないことがあったら、なんでも聞いて」

じゃあ、15万ってなんなの? どういうステータス?

 

すると、急にバンダナの子が視線を落とした。

「ほら、いろんな人が、いろんなことやっているじゃん。飲食店出したり、ドローンの会社やったり。だから、そういうのを、どれだけ頑張っているかの、基準、みたいな」

ふーん。と僕は、納得したような、納得していないような声をする。

そして、バンダナの子は、スルスル、と列を抜けて、どこかに行ってしまった。

早歩きをして、前にいた人に追いつくように歩いていった。

 

え?

「なんでも聞いて」って言われたから、なんでも聞いたのに。

それを嫌がられてしまった?

 

それからバンダナの子が話しかけに行ったのは、先ほど壇上に立って、「ベンツ、買いましたー!」と言っていた、ベンツリーダーさんだった。

バンダナの子は、歩きながらベンツリーダーさんに耳打ちをしている。

ベンツリーダーさんは、話を聞いて頷くと、僕の方にやってきた。

え、何これ。

何なの。

 

「madajima」と、ベンツリーダーさんは、僕の肩を叩く。

「今日のセミナー、どうだった?」

最悪でしたね。2500円、お金返して欲しいくらいですわ。

「そっか・・・。でも、最初は何もわかんないと思うよ」

そう、ですかね。

「ほら、会社に入った時も、最初は何がなんだかわかんないじゃん。それと一緒だよ」

ふーん。

「明日、来るよね? カリスマさんのセミナー」

どうっすかね。今日みたいな感じなら、絶対行きたくないですね。

「いや、明日のは、全然違うから。絶対来た方がいいと思う」

今日も、来た方がいい、って言われて、この顛末だったんですけどね。

「明日のは、本当に違うから。このコミュニティを始めた人で、何十億も稼いでいる人だから。何もかも違うし、ビンビン来ると思う」

 

僕たちは駅に着いて、改札の中に入った。

ベンツリーダーさんは、他の人に話しかけられて、どこかに行ってしまった。

バンダナの子が、こちらを向いた。

「明日、来るよね?」

 

かわいいな、おい。

こんな時になんだけどさ。

ちょっと、俺はキレ気味だけどさ。

怒髪衝天中だけどさ。

バンダナの子は、あほみたいにかわいい。

 

明日は、12月24日。

理由がセミナーだろうとなんだろうと、バンダナの子に、クリスマスイブに会いてえわ。

 

俺、明日行かない。

「え?」

俺、明日、行かねーことにしたわ。

 

セミナーとか、嫌だわ。

訳のわからん話を聞くのも嫌だし、バンダナの子がセクハラジョークを受けるの見るの、嫌だわ。

だが、それは声にならない。

 

バンダナの子は、落胆というか、悲しそうというか、そんな表情をした。

ムネリンや、他の人たちも周りにいたが、なぜかショックを受けているようだった。

 

そんな時だった。

「だーれだ!」

駅の中という公共の場で、後ろから、目隠しをされた。

バッと僕は振り返る。

そこにいたのは、新潟さんだった。

 

「何してるの? こんな所で」

ああ、新潟さん! と僕は驚く。

そっちが何しているんですか。まじでビビりました。

「いや、『だーれだ』って、やりたくなる後ろ姿をしていたからさ」

ええ!? 初めて言われましたよ。

 

新潟さんは、顔をうつむかせているバンダナの子やムネリンを見て、「ん?」と不思議そうな表情をした。

早く逃げたかった僕は、今日の話よかったですよ。それじゃ、また!と手を振り、新潟さんと、バンダナの子たちから離れて、電車に乗った。

 

電車に乗ってすぐ、ついさっき「だーれだ!」をして来た、新潟さんからメールが来た。

「じゃあまた明日! 明日はもっと経済的な話が聞けると思うから、お楽しみに〜〜〜」

 

うわ、何この、「明日来るよね」という前提で話してくる事による、表に見せないプレッシャー。

巧みだわ、新潟さん。

ま、あの、いつも行列大人気のイエス・キリスト、ではなく、新潟さんがわざわざメールなんてしてくるということは、どうせ、バンダナの子が頼んだのだろう。

しかし、さっきのベンツリーダーにしても、この新潟さんのメールにしても、どうして、バンダナの子は俺に直接言わずに、他の人に頼むのだろうか。

どうして、そうやって囲い込むようにプレッシャーをかけてくるのだろうか。

俺はメッシかよ。

俺は、味方からパスをもらった、メッシかよ。

俺はメッシじゃないから、そんな複数人のプレッシャーなんて、怖い。

すぐにバックパスするわ。

 

はー、かったるい。なんて返信しようか。

新潟さんのことは尊敬しているし、これからもつながりを持ちたいが、明日のセミナーには絶対行きたくない。

そうやって、新潟さんへの返信が浮かばないでいると、バンダナの子から電話がかかって来た。

僕はまだ電車にいたので、電話は取れなかった。

すると、すぐにメッセージが来た。

「新潟さんがメールしてるよ!」

 

はあああ?

知ってますけどおおお?

それを伝えるためだけに電話してきたの?

怒髪衝天の髪が、さらに逆立つようだった。

 

そんなにセミナーに来て欲しいなら、自分で言えよ・・・。

なんでそこで、新潟さんとベンツリーダーさんの口を借りるんだよ・・・。

1対1で話そうぜ・・・。

1対1で、ドリブル勝負しようぜ・・・。

1対1なら、バックパスしないから・・・。

デュエルしようぜ・・・。

 

僕は電車から出ると、家に帰り、真っ先にシャワーに入った。

怒髪衝天で逆立っている髪の毛を必死に洗い、コンディショナーを塗りたくり、綺麗さっぱり流して、風呂から上がった。

そうしてから、バンダナの子に電話をかけた。

 

「もしもし?」

ごめん、電車に乗ってたから、電話取れなかった。

「ああ、まだ着いてなかったんだ」

今、大丈夫?

「うん、大丈夫」

 

僕は、驚くほどに落ち着いていた。

シャワーって、すげえな、と思った。

シャワーのCM作るなら、「怒髪衝天のあなたに、このシャワー」って言いたい。

いや、シャワーのCMって、なんだよ。

 

「新潟さんのメール、読んだ?」

もちろん、読んでたよ。

「返信しなよ」

もちろん、する。『明日は絶対に行きません』って言う。

「確かに、今日のセミナーはアレだったけどさ・・・セミナー中に質問してもよかったのに」

 

イラっ。

セミナーの後だけど、質問したじゃん。

そしたら、話しづらそうにして、逃げるようにしてベンツリーダーさんのところにいったじゃん。

「私一人では、彼のドリブルを止められません!」みたいな感じだったじゃん。

そんなことが頭に浮かんだが、僕は感情を抑えようとした。

 

その、さ。

「うん」

明日は、絶対に、セミナーに行かないで、ゲーム作りに集中したいのね。だから、来週、どこかで二人で話せない?

「・・・」

ちょっと、正直に言うと、バンダナの子が、ベンツリーダーさんとか、新潟さんの口を借りて色々伝えようとしてくるの、嫌なんだよね。

「ちがっ・・・」

俺はバンダナの子と話しているつもりなのに、そっちは、陰でコソコソやって、他の人と相談しながら、伝えようとしてきているじゃん。

「そういう訳じゃないよ! ただ、私じゃうまく伝えられないから、ベンツリーダーさんと新潟さんにアドバイスを求めたりするときもあって・・・」

ごめん、わかっているんだけど、俺もちょっと感情的になっていて・・・。

とにかく、ここら辺のことを、また顔合わせて話せたらと思うんだけど、来週どこか空いてない?

「明日、本当に来ないの?」

絶対に行かない。

「・・・わかった。予定確認して、LINEするね」

ありがと。俺はいつでも空いているから。

「新潟さんに、返信しておいてね」

するわ!

 

通話が終わると、バンダナの子からすぐにLINEが来た。

「26日、18時45分に豊洲でどう?」

「おっけ!」と返信した。

 

続きます。