madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

銀座の恋活パーティに行ってきた その7

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面倒な人はあらすじ↓

銀座の恋活パーティで知り合い、仲良くなったバンダナの子は、ネットワークビジネスをするために、madajimaと仲良くなったのでは?

自分は、遠回しに遠回しに、ネットワークビジネスに勧誘されているのでは?

そんな不安、悲しさ、苛立ちがふつふつと湧き上がってきたmadajimaの、次の行動とは?

 

 

人間の不安は、底なしだ。

どんどんどんどん深まっていく。

誰かに話したいな、これ。

誰かに相談しなければ、これ。

 

T君かな。

銀座の恋活パーティに一緒に行ったから、バンダナの子が誰か、彼は知っているし、なんだか、こういうことをよく知っていそうなので、最適だ。

僕はLINEを送った。

 

『金持ち父さん、貧乏父さん』って本知ってる?

あれ、バンダナの子に薦められて読んだんだよね。

そしたら、その本、ネットワークビジネスのバイブルらしくて。なんだか誘われている気がして来た。

どうしよ、おれ、ネットワークビジネスとかやる気ないんだけど。

あの子が、おれをネットワークビジネスに誘うためだけに仲良くなってきたのなら、悲しいわ。

11月3日の250人参加のキャンプに誘われているし、そこで「人生を良くする講座」みたいなのが開かれるらしいし、怖いよ、T君。

バンダナの子が行くなら行きたいけど、怖いよ、誘われるの。

ねえ、T君もキャンプに行こうよ。

 

「majide」

T君の最初のレスポンスはそれだった。

彼は、英語のキーボードから日本語のキーボードに変えるのが、日本一億劫な人間だと思う。

ただ、そのおかげで僕は吹き出してしまい、少し気が楽になる。

「何それ、マルチ商法みたいな?」

「おれは誘われたことないなあ」

「あの本有名だから知っているけど、まあ確かになんか怪しいよね、あれ」

「そうだなあ、悲しいね」

 

T君の、興味がなさそうな、とぼけた感じの表情が目に浮かんだ。

ああしろ、とも、こうしろ、とも言わず、ただぼんやりと、頭に浮かんだことをつぶやいているだけな気がした。

まあ、確かに、他人からしたら些細なことかな、こんなこと。

ああだこうだ推測しているだけでは、始まらないよな。

ありがとう、T君。

やはり、持つべきはとぼけた友人だな、と思った。

そう、T君のイニシャルは、「とぼけた奴」から来ている。

 

そうしてT君に感謝した後、僕は、バンダナの子にメッセージを書き始めた。

すると、バンダナの子のLINEのプロフィール画像が、コスプレの自撮りに変更されていることに気づいた。

ちょうどハロウィンの週末だったので、その時に撮ったものか、と思った。

くっそかわいいやん。。。

警官姿とか、気の強い君に、似合わない訳ないやん。。。

真剣に、逮捕されたいんだが。。。

 

僕はつい、見とれてしまう。メロメロになってしまう。

が、すぐにハッとし、先ほどの不安が蘇って来て、これは白黒はっきりつけないとな、と思った。

 

警官似合うね! 逮捕されたい笑

本読んだよー知らないことばかりで、めっちゃ感動した。

ところで、バンダナの子って、ネットワークビジネスやってるよね?

おれも誘われて、セミナー行ったり、商品買ったことあるからさ。

 

もう面倒なので、全て本心をぶつけることにした。

逮捕されたいことも含めて。

僕が、以前ネットワークビジネスに誘われたことも含めて。

返信は、結構遅くになって返って来た。

 

「ありがとう! ちょっと本気出してみた笑」

「よかった! 本、どこら辺に感動したん??」

「私は、ネットワークビジネス勉強中! 誘われたって、どんな感じだったん??」

 

「勉強中」ってなんだよ。。。

まあ、ネットワークビジネスを、収入の手段の一つとして考えているのかな、と想像した。

 

ただ、よく考えたら、ここまで彼女にクエスチョンマークが並んだのは、初めてかもしれない。

今までは、彼女がああだこうだ話して、僕がそれに合わせてああだこうだ言ったり、質問するだけで、バンダナの子が、僕に何か具体的なことを聞いてくるのは、ほぼ無かった。

なんにせよ、「ネットワークビジネスに誘われたことがある」と正直に言ったおかげで、色々と興味を持ってくれたようだ。

さて、それでは、これに対し、何を、どのように言ったものか。

 

とりあえず、僕は、250人のキャンプイベントをやんわりと断りたい。

大人数は嫌いだし、ネットワークビジネスをやりたくないし。あと、参加費1万円は高すぎ。

ただ、バンダナの子がネットワークビジネスをやっているのは、別にオッケー。

ネットワークビジネスは絶対にやりたくないが、ビジネスの形の一つとして、お金稼ぎの方法の一つとして、それをやりたい人がやっているのは、別に良いと思っている。

ネットワークビジネスで学んだことを通して、今のバンダナの子が今のバンダナの子になったのであれば、今のバンダナの子を好きになった僕が、ネットワークビジネス自体を否定するのは、違う気がした。

 

とにかく、「おれはネットワークビジネスをやりたくないし、キャンプに行きたくないけど、あとで話聞かせて」的な感じで、二人でまた会う約束を取り付けられれば、最高だ。

しかし、それをうまく言う方法があまり思いつかない。

僕はしばらく考えて、考えて、考えて、メッセージを書いては直し、を繰り返していた。

すると、バンダナの子から電話がかかって来た。

一瞬迷ったが、その電話をとった。

「もしもーし」

快活な声が聞こえてくる。

あ、ごめんね、今返信書いていたところで。

バンダナの子に比べ、僕の声は、かなり迷った声をしていたと思う。

「いいよいいよー」

何で電話くれた?

と言おうか迷ったが、やめた。

逮捕してくれる?

と言おうか迷ったが、やめた。

 

「本、読んだん? どうだった?」

いやー、よかったね。色々常識を覆されて、やる気が出て来たわ、色々と。

「本当に? あれ、めっちゃ良いよな。どこがよかったん?」

 

僕は、自分が感銘を受けた部分を適当に言いながら、いつネットワークビジネスについて聞くのか、タイミングをうかがっていた。

あのさ。

会話がひと段落したので、息を吸いながら、僕は勇気を出そうとする。

 

ネットワークビジネスを勉強中、って何なの?

やっぱり、新潟さんもやっているの?

11月3日のキャンプも、ネットワークビジネスのためのイベントなの?

 

バンダナの子の口調は、ハキハキとしていた。

「新潟さん、やっているのかなあ」

はあ? 知らないの?

「私はねー、ホント勉強中って感じ」

はあ? やってないの?

「キャンプはね、ホント、ネットワークビジネスとか全然関係ないんよ。みんなで遊んで、そこから学びを得て、それから飲んだり、キャンプファイヤーしたり」

ふーん。

「っていうか、それ、ダメじゃん、キャンプと見せかけてネットワークビジネスに勧誘するとか。こわくない? それ」

まあ、ねえ。

 

バンダナの子と新潟さんは、確かに、以前ネットワークビジネスに誘われているときに会った人たちとは、かなり違っていた。

ネットワークビジネスをやっていない人を下に見て、自分がやっていることが全て正しい、他の人もそうすべき、みたいなオーラは一切出ていなかった。

だけど、勉強中ってなんだよ。

ビジネスをする一つの手段として、ネットワークビジネスを勉強している、ってことなのかな?

ここまで来て俺を直接勧誘していないなら、実際にはやっていないってことで、オッケーなのかな?

 

だが、電話なので、そういう風に色々考えている時間は、一切ない。

「madajimaは、結局、キャンプどうする?」

んーん!

 

僕は迷っていた。

バンダナの子には、会いたいなあ。

バンダナの子の友達がどんな感じか、見てみたい。

ネットワークビジネスやっていないなら、なおさらだ。

でも、250人とか、かったるいなあ。

大人数でワイワイガヤガヤって、かったるいなあ。

銀座の恋活パーティみたいに、互いが互いを知らない同士ならまだしも、仲良いグループに入るのは、かったるすぎる。

でも、バンダナの子に、逮捕されたいなあ。

でも、大人数は。。。

 

ちっと、さ、大人数はあれなんだわ。

僕は声を絞り出すように言った。

「えー、そうなの? 意外。別に人見知りとかじゃ、全然なさそうなのに」

いや、人見知りとかじゃないんだけど、大人数がわけわかんない。楽しみ方がわからない。

「あ、そうだ、キャンプの前日に、『キャンプ前夜会』ってのがあるんだよね。キャンプに初めて行くけど、知り合いがいなくて不安な人たちが、事前に集まる、みたいな」

え、何人くらい?

「5人とか、多くて10人じゃない?」

まさに、俺のための会じゃん、それ。

「おっ、じゃあ、行く?」

行かせていただきます。

 

電話は、1時間くらい続いた。

彼女の口調はどんどんくだけていって、ものすごく可愛らしくなっていった。

こんな風に、毎日電話できたら、幸せだな。幸せだよ。

でも、大人数キャンプはかったるいな、かったるいよ。

 

もうモヤモヤするから、とりあえず、キャンプ前夜会に行って決めよう。それからで良い。

 

そうして、キャンプ前日の11月2日になった。

僕は、キャンプに行くか行かないか50%50%で迷っている中、不安と期待が50%50%の中、バンダナの子に逮捕されたい気持ちが100%の中、仕事終わりに東京駅へと向かった。

 

続きます。