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madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

エレベーターでの会話

ブログ名を変えました。
最近、老若男女の赤の他人と話すのが好きなので、これからはその辺りを中心に載せていこうと思います。
誰かに話しかけられたら、「え? もしかしてmadajimaさん?」と怪しまれるくらい、でかくなるのが目標です。

さて、かつて勤めていた会社の先輩からディナーに誘ってもらったので、そのマンションに向かった。
地下鉄の駅を出て、幹線道路沿いの歩道をてくてく歩く。
マンションの5メートルほど手前になったとき、インド系の男性が自転車を引っ張りながら、ちょうど同じマンションに入っていった。
オートロック式ではないそのマンションは、外の歩道から建物内の通路に入り、奥に進むと突き当りにエレベーターがある、というレイアウトになっている。
インドさんは、その通路に自転車を停めるのかと思いきや、そのままエレベーターまで引っ張っていった。
彼はボタンを押し、自転車のハンドルに手をやりながら、エレベーターが降りてくるのを待っている。
そこで、後ろから歩いてきた僕のことに気づき、少しばつが悪そうにした。
僕自身も、「え、なにこれ、どうすんの」と顔が言っていたに違いない。エレベーターのドアからして、自転車が入りそうなスペースはない。
エレベーターが降りてきて、ドアが開いた。すると、インドさんが「どうぞ」と先に譲ってくれた。
僕は「あ、どうも」という感じで頭を下げて先に入り込む。
自転車のインドさんは、続いて入ってこなかった。
代わりに、「上がって、上がって」と言って笑顔で僕に指示する。
彼の意図を理解した僕は、「あ、どうも」と言い、閉めるボタンを押した。
それに合わせてドアが閉まる。
そこですぐに、「ちょっと待って!」とインドさんの声がした。僕はあわてて開けるボタンを押す。
何事かと思ったら、若い女性が来ていた。
彼女も「あ、どうも」と申し訳なさそうにして、乗り込んできた。
インドさんと笑顔で会釈する。
ああ、インドさんはなんとジェントルマンなのか。略してインド産ジェントルマンだな。
エレベーターが閉まる。
彼女は9階のボタンを押した。
僕は10階のボタンを押してある。
ウィーンとエレベーターがゆっくり上に上がる。
「自転車、どうするつもりなんですかね」
僕は気付けば口を開いて聞いていた。
言っておくが、その女性がかわいかったから話しかけたわけではない。インドさんが自転車をどうするのか、単純に気になったからだ。
女性がこちらを振り向いた。
大きな目を大きく開けて、素直に驚いた表情をしている。
くっ。。。かわいいじゃないか。
ただ、化粧が少し濃く、あまりタイプではない。
いやいや、そこはどうでもいい。気になるのは、インドさんの自転車である。
「あー、あれ載るんですよ。他にやってる人も見ますし」
「えっ、まじっすか」
僕は、顔を上げてエレベーターの中を見回した。
言っておくが、狭い空間で魅力的な女性をじっと合わせることに気まずくなったから、エレベーターの中を見回したわけではない。あくまで、自転車が入るかどうかを確認するためだ。
確認したが、垂直に自転車を立てて、やっと入るくらいだろう。労力はだいぶしんどいに違いない。
「本気で入るんですか」
「え、はい」
「一体どうやって」
「いや、こう、立てて」
僕のリアクションがおかしいからか、女性は口に手を当てて笑う。
9階になり、女性はお辞儀をして、そそくさとエレベーターを出た。
僕は「おやすみなさい」とあいさつして、エレベーターの閉めるボタンを押した。
エレベーターが閉まる。
と思ったら、閉まらない。
ガチャン、と音を立てて、開いた。
もう一度、閉めるボタンを押した。
エレベーターが閉まる。
すると、近くの部屋のドアが開く音と共に、先ほどの女性の声が聞こえてきた。
「ははは! ねえー! ちょっと聞いてー!」
その続きが聞こえることなく、エレベーターが閉まった。

 

その女性が、「madajimaさんに話しかけられたよー!」と自慢するような日が、いずれ来ることを願う。