madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

観客のリアクションと、稀勢の里の優勝

大相撲だ。

僕は、身体は細いし、格闘技全般も見ないが、相撲を見るのは子供の頃から好きだ。

昔は、相撲の結果、内容を楽しんでいたが、最近は、テレビで相撲の最中の拍手、歓声を聞くのがたまらなくなっていた。

あー、とか、おー、とか、っていうより、あああおあおあおー、っていう、老若男女の入り混じった声を聞くのが、めちゃくちゃ気持ちいい。

あと表情。テレビに映っている人たちの表情は、それぞれ違っていて、瞬間瞬間でどんどん変わる。

そして、決着が決まると、みんなが一斉に手を叩きはじめる。

あーまじ美しいわ、芸術だわ。人間まじ最高、って思う。

 

僕がそういう風に楽しむ大相撲は、日本人横綱が長らく不在だ。そして、その重圧と期待を一身に背負ってきた大関稀勢の里が、ついに、初優勝をした。さっき。

正直、僕は稀勢の里のファンというより、観客のリアクションのファンなので、千秋楽まで優勝争いが続き、優勝決定戦で横綱白鵬を倒し、稀勢の里が優勝する、という瞬間の観客の表情、歓声を感じたかった。

でも、白鵬が負け、支度部屋で自分の優勝を知ったときの稀勢の里のリアクションを見て、考えが変わった。

まず、白鵬が敗れた瞬間、稀勢の里はカメラに背を向けていて、テレビには大きな背中しか映っていなかった。そこがまず良い。

稀勢の里はゆっくりとカメラの方に姿勢を向く。

「長い間つかめなかった優勝を達成し、お気持ちは・・・」と、インタビュアーがそろりと聞いた。

「・・・・・・そうっすね・・・うれしいっす」稀勢の里は、何とか言葉を絞り出すに言う。

それから、インタビュアーが「今まで支えてきた方々には、なんと伝えたいですか」と聞いた。

「・・・・・・感謝しかないですね」

その時、稀勢の里の右目から、つらりと滴がこぼれた。

するとすぐに、稀勢の里はすくっと立ち上がり、奥に引き上げていった。

カメラが映すのは、またも稀勢の里の大きな背中だけだった。

 

寡黙で大柄な力士の、一滴の小さな涙。

必死にこらえようとするも、湧き出るのが止まらない、感情。

 

あー、まじで美しいわ。芸術だわ。人間まじ最高、って思う。