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madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

2年ぶりの歯医者

何も変わらぬ日常に、非日常をもたらしたいなあ、と思ったので、歯医者に行ってきた。

嘘だ。

女の人が多いし、良い出会いがあるかなあ、と思ったので、歯医者に行ってきた。

嘘だ。

虫歯ができて、そこでものをかむと痛かったので、歯医者に行ってきた。

本当だ。

病院が嫌いな僕は、健康診断にすら行かない質だ。お医者さんも、看護婦さんも、基本的にみんなイライラしているので好きじゃない。みんながみんなマスクしているのも嫌だ。それはしょうがないけど。

しかし、もともとちょっと黒ずんでいた歯が痛くなったので、電話で歯医者を予約した。その歯科医院は、アパートの近くで新しかったので、また、ホームページがわかりやすくて好感を持てたので、そこにした。

予約の電話の相手は、高校生みたいな声の女性だった。そして、よくわからないが、声がイライラしていた。

周りの友だちに彼氏ができたけど、彼氏がいなくてイライラしている女子高校生みたいな態度で、僕も少々イラッとしたが、そこは大人の態度で対応した。

 

予約の数日前になった。ここで問題が起きる。

痛かった歯が、全く痛くなくなったのだ。

虫歯ができて、ものをかむと痛かったので、歯医者に行ってきた。

ごめんなさい、これも嘘でした。

ただ、予約をしたので、しょうがなく歩いて行った。

その道中で、また問題が起きる。

この痛かった歯は、2年前通っていた歯医者さんに、「レントゲンで見ると大丈夫なので、様子を見ましょう」と言われていたことを思い出したのだ。

今回も、同じことを言われるに違いない。だって、痛くないんだもん、今。

ああ、面倒くさい。予約しなきゃよかった。

とはいえ、週末の午前中に外に出るいいきっかけになったし、また、何も変わらぬ日常に、非日常をもたらしたいなあ、あと、色んな人に会って良い出会いがあるといいなあ、と思っていたところだったので、ポジティブに考えた。

手続きを終え、自分の番になった。

あの、いつもの寝そべる椅子に座り、お医者さんと話した。若い、かっこいいお兄さんだった。笑顔が素敵で、嫌らしさが全くない。好印象だ。

いろいろと質問に答えたあと、僕は、申し訳なさげに、予約した時に痛かった歯が痛くなくなったことと、そして、前に行っていた歯医者に「様子を見ましょう」と言われたことを説明した。

その、通っていた歯医者のことを話したときだ。好印象の若いお医者さんは、付き合っている彼女が元彼氏のことを話しているのを聞く男子高校生みたいな、嫌そうな表情をした。

お医者さんは僕にとって好印象だったが、僕はお医者さんにとって悪印象だったようだ。

ああ、面倒くさい。予約しなきゃよかった。様子を見れば良かった。

その後、口内写真を撮ったり、レントゲンを撮ったりした。

その撮った写真を見せるのはiPadで、レントゲンを見せるのは、目の前にどんと置いてある、大きなAQUOSのTVだった。こういうのは、なんだか時代が進化しているのを感じれて、嬉しい。

お医者さんは、その大画面でレントゲンを見せ、「んー、やはりこれは、虫歯ではなさそうですね。様子を見ましょう」と、完全に予想通りのことを説明してくれた。

今日は他の歯を検査しましょう、とのことだ。それから、歯医者さんは他の患者のところへ向かった。

その待ち時間、看護婦さんが僕の背後でAQUOS TVのリモコンをいじり、映画を映してくれた。おお、これはなかなか配慮が利いている。

映画は途中からだったが、顔の見たことのある俳優たちが、カジノをうろちょろして、いろいろ罠を仕組んで、金を取ろうとしている、という物語であることはつかめた。

映画音痴の僕だが、一人、顔と名前が一致する俳優がいた。マット・デイモンだ。女の人を誘惑している。しかし、あまりに鼻がでかすぎたので、少し似ている別人だ、と気付いた。この誘惑している役は脇役のようだったので、まあ、マット・デイモンがこんな脇役っぽいことしないだろう、と納得した。ただ、それにしても似ている。もしかしたら、この俳優の名前はマット・ハナガデカイモンかもな、というだじゃれを考えつき、笑いをこらえる。

映画をそこそこ楽しんでいると、お医者さんが再び来て、大画面をレントゲン写真に戻した。

それから、看護婦さんと一緒に僕の歯をひとつひとつチェックした後、お医者さんはまた他のところに行った。同時に、TVの大画面が映画に戻った。

映画はどうやらクライマックスに入ったようで、おもしろくなってきた。音は聞けず、日本語字幕だけだったが、それが逆に新鮮で良かった。

有名そうな俳優たちは、カジノに地震を起こして、金を持って逃げようとしていた。んな簡単にいくかよ。。。絶対あの悪役がなんか反抗するだろ。。。と思っていたら、あっさり金を持って逃亡に成功していた。

だが、マット・ハナガデカイモンは逃げそびれたようで、FBIに捕まってしまった。

ここで、全く予想していないことが起きた。

マット・ハナガデカイモンのデカい鼻が実は変装で、マット・ハナガデカイモンが実は、マット・デイモンだったことが判明したのだ。

マット・ハナガデカイモンに誘惑されていた女性は、そのデカい鼻がお好きだったようで、変装に騙されていたことにショックを受けていた。同様にマット・ハナガデカイモン騙され、ショックを受けていた僕は、その気持ちがよくわかった。

れ最後に花火が打ちあがり、エピローグに入ろうとするところで、ようやくお医者さんが戻ってきた。「すいませんお待たせして」と申し訳なさそうだった。途中で、「もしかして、お医者さんは僕に映画のクライマックスを見せてくれているんじゃないか」ということも予想したが、単純に他のところで時間を食っていたようだ。こういうタイミングの偶然は、うしいものだ。

歯医者さんがいろいろ説明すると、看護婦さんが来て、「じゃあ、歯の掃除を始めますね」と歯の掃除を始めた。

そこで、クライマックスが来てしまった。映画ではない、僕の小便の方だ。

ただ、ここでトイレに行こうとすると、看護婦さんに「さっきの長い待ち時間で行っておけよ」と女子高生のように理不尽にキレられそうだったので、言えなかった。この看護婦さんがあの予約の電話相手だという可能性も、ゼロではない。

掃除、口ゆすぎ、掃除、口ゆすぎの流れが続き、これはもしかしたら長く続くのかな、と不安になったので、勇気を出し、看護婦さんの方を見て、「すいません、この後結構続きますか?」と聞いてみた。

看護婦さんは、単純に驚いたようで、不快な感じを一切見せず、「いや、あと仕上げで糸を歯の間に通すだけですが。。。」と言った。

「あ、じゃあ大丈夫です。もし長くなりそうだったらトイレ行こうと思っていたんで」僕はトイレのことを話す恥ずかしさで早口になる。

「あ、でも、我慢しなくてもいいですよ」

「いや、あとちょっとなら全然、我慢できます」

僕は再び、恥ずかしくて早口になる。

よく見ると、その看護婦さんがかわいい人だったからだ。

マスクで顔は目しか見えなかったが、じっと目を見ると、彼女の大きな目には純粋さしか映っておらず、普通の女子高校生がそのまま大人になったような魅力があった。また、「男の人のトイレ」という状況に、恥ずかしがっていたようにも見えた初心さも、その魅力を引き立てた。

へえ。

へー。

ふーん。

個人的に、イライラしてばかりなイメージだった歯科医の看護婦さんにも、こういうタイプの人がいるのか。。。

いつも寝そべる座席の後ろにいるので、一切顔が見えていなかった分、驚きが大きかった。

 

歯科医院を後にしたとき、何だかこう、漠然と、すっきりした気持ちがした。

来てよかったな、と。

映画のおかげか、看護婦さんのおかげか、トイレのおかげか、よくわからないが、おそらく全てだろう。

 

 

何も変わらぬ日常に、非日常をもたらしたい?

歯医者さんに行きましょう。待ち時間に見るおもしろい映画が、あなたを非日常の世界へ誘います。

 

良い出会いを探している?

歯医者さんに行きましょう。看護婦さんたちは、常にマスクをしているし、立ち位置的にも顔は見えづらいのですが、良い人がいる確率は低くありません。

 

なんか虫歯ができた?

歯医者さんには行かず、様子を見ましょう。