madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

猫のようなスタバ店員

僕が毎週日曜日の早朝に行くスターバックスに、かわいい店員さんがいる。

低い背にまっすぐな黒髪、細い垂れ目の顔を見た時、「あ、猫みたいだな」と思った。

スタバの店員といえば、いつも笑顔で、「この人自分の事好きなんじゃね」と思うくらいホスピタリティにあふれた対応で有名だが、この子は違った。

まず、あまり笑わない。が、怒ってもいない。真顔でもない。

「あなたのこと、知っていますよ」と言っているかのような、全てを見透かしているような顔をしてくるのだ。猫のように。

不運なことに、僕もブログも知名度は高くないので、それは勘違いなのだが、そういう目で見てくる店員さんに会ったことはなかったので、魅力的に感じた。

ところが、今月ぐらいになって、この猫の店員さんは目を合わせてくれなくなった。

元気が無くなったのか、それとも僕のことが嫌いになったのか。

幸運なことに、僕はスタバで大したことをしていないので、嫌われているはずはない。

そして、先々週のことだった。

スタバに行って、コーヒーをもらって会計したとき、

寒かったせいか、手が冷たく、レシートをうまく財布の中に入れられなかった。

その間、猫の店員さんはずっと待っていたため、僕は申し訳なくなり、「しゃーせん、手が」と慌てて謝ると、「大丈夫です」と優しく言ってくれた。

それから席に着いて少し経つと、「あの」と後ろから声がした。猫の店員さんである。

「あの、今チーズケーキの試食をしているので」と若干の笑顔で言い、小さいカップの上に載った試食用のチーズケーキを手渡してくれた。

手がまだ冷たくて震えていたため、正直テーブルの上に置いて欲しかったが、それを言うとさすがに嫌われると思い、言わなかった。

僕が笑顔で感謝の意を伝えると、猫の店員さんは珍しく、顔をくしゃりとして笑った。

それから周りを見てみたが、他にこのカップが載ったテーブルは見当たらなかった。

もしかして、僕のために? と考えたが、いや、常連さんにはそういうことすんのかな、例の「俺のこと好きなんじゃねホスピタリティ」の一つかな、思い流した。

それから一週間後の先週、いつも通り、そのスタバに行った。

あのチーズケーキのことをまた感謝しようかな。なんか話したいな、と思った。

が、いなかった。全然違う店員さんしかいなかった。

ちなみに、この日も寒く、レシートを財布の中に入れるときにまごついたのだが、この日の女性店員は、それを待たずに、

「ごゆっくり」とだけ言い残してどこかに行ってしまった。

ああ、猫の店員さん、何でいないの。その嘆きがより大きくなる。

彼女が日曜日にいないのは、初めてに近かった。

そして、ある予感が頭をよぎった。

もういないんじゃね? もう来ないんじゃね?

猫が死ぬときは、遠くにいなくなってひっそりと死ぬから、と言いたいわけではない。

だが、あのチーズケーキの試食が、常連さんへの彼女のさよならの挨拶と考えると、最近元気がなくなって僕の目を見てくれなくなったことも、筋が通る。

そこで、あ、と思った。

もしかしたら、あのチーズケーキの載っていたカップの裏に、彼女のLINE IDが載っていたんじゃね?

もしかしたら、僕はただの常連ではなく、スペシャルな常連だったんじゃね?

ところが、時すでに遅し。そんな可能性を一切考えずに、僕はカップを捨てていた。

ああ、一体オレはなんということを。どうしてその可能性を考えられなかったのか。

 

明日、再び日曜日が来る。

僕のいやな予感が当たっているかどうか、その日にすべてわかる。

12月25日、僕がまた早朝に行けば「僕は独身、昨日寂しい夜を過ごしましたよ」

と言っているようなものである。

彼女もまた早朝にいれば、「独身なので、今日も休みを取らずにきました」と言っているようなものである。

そうなれば、僕はスペシャルな常連どころか、スペシャルワンになれるかもしれない。

いつか連絡先を聞くときは、カップケーキを渡して、そのカップの裏に、LINE IDを書くことにしよう。