madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

madajimaの海外 シドニー編 その1 - プロフェッショナル

 

2018年10月13日の土曜日、僕は成田空港を発ちました。

19時30分成田発、朝の7時半にシドニー着です。

シドニータイムゾーンは日本より2時間早いので、東京の5時半に着くことになります。

つまり、10時間のフライトです。


14日の日曜日の朝に着いてから1日観光をして、15日から17日までシドニーオフィスで会議に参加、という感じでした。

なので、コンディション作りが大事です。

海外に出張に行くようなプロフェッショナルなら、夜を越すフライトもなんなりとこなさなくてはなりません。

もし、このフライトで一睡もできなかったりしたら、せっかくの観光の日曜日を棒に振るだけではなく、大事な仕事や会議にも影響を及ぼす可能性があります。

飛行機の中でしっかりと睡眠をとるために、全力を尽くさなければいけませんでした。


コンディション作りの勝負は、飛行機に乗る前から始まっていました。

18時に成田空港に着いてチェックインをし、日本料理屋で生姜焼きを食べました。

夕飯を、シドニーの20時に食べたわけです。

悪くありません。

それから手荷物検査を済ませて、抹茶味のチョコ饅頭をおみやげに買い、飛行機に乗りました。

ちなみに、僕はまだ平社員なので、ビジネスクラスではなく、プレミアムエコノミーでした。

新幹線のグリーン車みたいで、座り心地は良かったです。

着心地の良いジャージを身に纏い、これならよく眠れそうだ、と思いました。


19時半に飛行機は離陸し、その30分後に機内食が配られました。

「パスタとハヤシライス、どちらにしますか?」とベテランの日本人女性CAに聞かれましたが、「大丈夫です」と僕は丁重にお断りしました。

JALのプレミアムエコノミーで、一体どんなプレミアムな機内食が出るか興味がありましたが、シドニー時間の22時にご飯を食べる訳にはいきません。

シドニー時間に合わせて夕飯を食べるために、生姜焼きを事前に消化した訳です。

他の乗客がむしゃむしゃとプレミアムな機内食を美味しく食べている中、僕はアイマスクとマスクとヘッドフォンを装着して、寝始めました。

見た目は銀行強盗っぽかったですが、中身はコンディション作りに徹したプロフェッショナルでした。


「いてっ!」

眠りに入って少し経つと、僕の左足の小指に痛みが走りました。

通路側に少しはみ出ていた僕の左足が、食後のお茶を注ぐために巡回していたCAに踏まれたのです。

「申し訳ございません!」

日本人の女性ベテランCAは、すぐに謝りました。

少し席の幅が広いプレミアムエコノミーだからとなめて、足をやたら広げて寝ていた僕も悪いのですが、やたら謝ってきました。

「いえいえ、こちらこそすいません、大丈夫です」と僕は言いました。

僕にとっては、寝るのが最優先事項だったので、特にどうとも思わずに、再び眠り始めました。


「つめたっ!」

再び眠ろうとしてすぐ、僕は、左手に冷たいものを感じました。

アイマスクを外して見ると、アジア系の若い男のCAが、ハーゲンダッツカップを手に持っていました。

その冷たいハーゲンダッツを僕の左手に当てられて、起こされたのだと気付きました。

「いりますか?」的な顔をしています。

いるわけねえだろおおお!!!

見りゃわかんだろおおお!!!

起こすんじゃねえよおお!!!

さすがに、これには腹を立てました。

が、叫ぶ力もなく、「は? いらないけど?」とひたすら嫌そうな顔を作って、首を横に振りました。

何がプレミアムだよ。

コンディション作りをしているプロフェッショナルをハーゲンダッツで起こして、何がプレミアムなんだよ。

それを頭で考え出すと、イライラが止まらなくなって、寝付けなくなりました。


仕方なく、スマホを取り出して本を読みだしていると、先ほど足を踏んだベテラン女性CAが、飲み物配りにやってきました。

「madajima様、何かお飲み物は」

え?

madajima様?

「あー、えっと、水で」

「はい」

え?

今、俺、名前で呼ばれた?

マジかよ。

飛行機の中で、CAに名前を呼ばれたことなんて無いわ。

めっちゃプレミアムじゃん。

ってか、この人、プレミアムエコノミーの名前全部覚えてんの?

そう思って、僕の後ろの人に飲み物を尋ねるのを耳をひそめて聞いてみましたが、名前を言っている様子はありません。

ああ、これは、あれか。

足を踏んだからか。

足を踏んだ人の名前は覚えなきゃいけないってことね。

この「足を踏んだ人に名前を呼ぶ」サービスはエコノミーも同じかもしれないですが、なんとなくプレミアムな気持ちになり、ハーゲンダッツ事件も忘れて、再び銀行強盗の装備をし、すやすやと眠り始めました。


着陸まであと2時間となった頃に、照明が点き、朝食の機内食が配られ始めました。

シドニー時間の5時半なので、シドニー時間に合わせていた僕は、ちょっと早起きくらいの時間で、ちょうど良かったです。

よし、ようやくプレミアムな機内食を楽しめる、と思いました。

「madajimaさん、どうぞ」と言われてもらった機内食のふたを開けると、作りたてのような見た目のウィンナーとスクランブルエッグがあり、味もおいしかったです。

また、そこにあったボトルウォーターが、新潟県津南町の水だったことに喜びました。

そうだよな、地元の水、プレミアムだよな。

新潟のことが誇らしく思えました。


そんな風に楽しんでいると、後ろの方から泣き声が聞こえてきました。

赤ちゃんの泣き声、ではなく、少年の泣き声です。

「意味わかんねえよ、さっき夕飯食べたばっかじゃん。んで、もう朝食かよ。全然眠れないし、でもなんだか眠いし、わけわかんねえよ」

周りを一切気にしていないのか、ハッキリと大声でそう言っています。

あまりに気になったので、首を捻って後ろの方を見ると、高校生くらいのオーストラリア人の少年が、隣のお母さんに「よしよし」と頭をポンポンとされてなだめられていました。

涙を流している、マジ泣きです。

その光景は、あまりにも不自然でした。

確かに、日本時間の20時に夕飯が出て、3時半に朝食が出てきたことになるので、ちょっとクレイジーです。

でも、予約の時にもらうeチケットに「食事は2回」と出ていたので、それくらいの予測はできたはずです。

準備はできたはずです。

なので、何をどう頑張って考えても、涙を流す意味はよくわかりませんでした。

こういうアホな少年が育ったような国に行くのか、と思うと、少し不安になりました。


そんな不安と、到着のウキウキが混ざる中、飛行機は無事に着陸しました。

まずはホテルに向かって、チェックインです。

会社の規定で、空港からホテルまでの交通費は経費で落とせるため、乗り方の分からない電車よりも、タクシーに乗ることにしていました。

空港から出て、タクシーのマークを順に追っていきます。

ところが、途中で、そのタクシーのマークを見失ってしまいました。

なんだか普通の駐車場に突っ込んでいるようで、タクシー乗り場っぽいのが見当たりません。

やべ、と思い、キョロキョロします。

すると、背の高い中国人と目が合い、「タクシー?」と話しかけられました。

怪しいメガネをかけて、怪しいヘッドセットをして、怪しい髪型をしています。

よく映画で見るような、ちょいワルな中国人でした。

あまりに典型的な悪役スパイ姿なので、身構えてしまいます。

「どこ?」

Hyde Parkの近くのホテル」

「あー、それじゃ、50ドル(4000円)かな」

うわ、高いな、と思いました。

よく考えたら、結局は会社持ちなので、高いかどうかなんて関係ないんですが、騙し取られている感じがしました。

「ちょっと高いね。電車にするわ」

「あ、そう」

すると、彼はヘッドセットに手を当てて中国語で話し始めました。

こわ。

恐ろしいわ。

そう思いながら、僕はUターンをして彼に背中を向けました。


来た道から空港に戻る時、電車のマークはあったので、それを追っていって、タクシーは諦めようと思いました。

すると、その電車のサインを追っている途中でタクシーのマークが現れました。

その矢印が指す方向を見ると、スーツケースを持っている人がたくさん並んでいます。

ああ、これだ。

これがタクシープールだ。

なんだ、ここにあったんだ。

ここに来たかったんだよ。

と、いうことで、そこに並び始めました。

さほど待たないうちに自分の番が来て、タクシーに乗りました。

運転手は、インディアン系の男性で、淡々と仕事をこなす良いやつそうでした。

「目的地は?」

「Pullman Hotel Hyde Park

「え?」

「Pullman Hotel Hyde Park

「Prymont?」

「違う、Pullman Hotel Hyde Park

「タイプしてくれる?」

そう言われて、彼のスマートフォンGoogle Mapに入力しました。

Google Mapはちゃんと僕のホテルを知っていました。

そして、そのGoogle Mapのガイド通りに、彼は運転を始めました。


幹線道路に乗り、スピードがグングン上がります。

久々の外国の風景に、僕のテンションが上がりました。

たくさん木があって、緑がある感じがたまりませんでした。

さすが、「住みやすい世界の街ランキング」でいつも上位に来る場所です。

「すっげー、オーストラリアってこんな感じなんだ」と、車窓から顔を離せませんでした。

が、そんな僕のテンションと同様に、タクシーのメーターもどんどん上がりました。

なんか、ものすごい勢いで上がっていきます。

だんだんと、車窓からの景色よりも、メーターから目が離せなくなりました。

出ているスピードを考えたら当然なんですが、どこまで値段が上がるんだろう、と不安になりました。

再び、ですが、これは会社持ちなので、値段がいくら上がろうが僕には関係ないんですが、なんとなく不安になりました。


ホテルに着きました。

料金は、65ドル(5200円)でした。

結局、あの怪しい中国人の言っていた額よりも高くなりました。

レシートの内訳を見ると、空港チャージみたいなのがついています。

空港から正規でタクシーだと、余計にお金かかるみたいです。

あの中国人、怪しい格好やめれば良いのに・・・。

まあ、「安心を買ったんだな」と思うことにしました。


受付にパスポートを見せてチェックインし、カードキーをもらいました。

「あなたの部屋は2312ね。エレベーターはあそこ」

それで終了でした。

え? 朝食の説明は?

朝食、ついているんだよね?

あと、ホテルで使える施設とかは?

普通、そういう説明あるくね?

ここ、五つ星ホテルだろ?

日本の普通のホテルがやってること、やってねえの?

・・・。

「サンキュー」

色んなクエスチョンマークがブワーッと頭に出てきましたが、疲れていたのもあり、早く部屋に行きたかったので、特に何も聞きませんでした。


エレベーターに乗って、部屋に着きました。

部屋はかなり広く、窓からの眺めはすごく良かったです。

アリみたいな小さい人が、公園を歩いているのが見えます。

ウッホーーーーイ。

ヤッターーーーイ。

本気で、そう声に出しました。

やっべー! すっげー!

自分では絶対にこんなところ泊まれないわ。

会社にマジで感謝しました。

めっちゃ働きますわ、と誓いました。


あ、そういえば、今日の分の朝食ももうついているんだよね。

宿泊は前日の土曜日からで、だけど日曜日の朝に着いた、っていう体だから。

だから、今ホテルで軽く何かを食べて良いんだ。

どこで食べられるんだろ。


部屋の中に、「朝食は◯階です」みたいな説明があるかを探しましたが、見当たりません。

代わりに見つけたのは、朝食のメニュー表でした。

「午前0時までに丸をつけてドアノブに引っかけてください。それ以降の注文は、電話をしてください」

ああ、もしかして、ここは五つ星ホテルだから、朝食も全部ルームサービスかな?

なんだ、そういうことか。

危うく、恥ずかしい思いをするところだったわ。

受付に「朝食って何階で食べるんですか?」なんて聞くところだったわ。

それじゃ、早速電話をしようかな。

トゥルルル。

ガチャ。

「はい、なんでしょう」

声は、若いアジア系の女性でした。

「あの、朝食を頼んで良いですか?」

「え? 今から?」

「え?」

この反応にはビビりました。この時まだ9時前で、ガッツリ朝食の時間だと思ったからです。

「・・・わかりました。なんでしょう?」

女性の声が、急に営業スマイルになりました。

「あ、フルーツジュースと、クロワッサンと、コーヒーで」

「わかりました。部屋までお持ちしますね」

「サンキュー」

「サンキュー」

ガチャリ。

ウケるわ。

あの変わり身っぷり。


あ、そうだ。持ってきたスーツとワイシャツをハンガーにかけるかな。

ワイシャツにあんまりシワがついていないと良いけど・・・。

ん?

あれ?

俺が持ってきたスーツ、なんかちがくね?

ジャケットとズボン、なんか色がちがくね?

ジャケットは黒で、ズボンが紺なんだけど・・・。

嘘でしょ・・・。

すんげー見た目が変になっちゃうんですけど。

なんで、持ってくる時に気付かないの?

ああ、昼間の光で、よく見えなかったからか・・・。

光の反射で、どっちも同じ色に見えちゃったのか・・・。

はあ・・・。

とりあえずハンガーにかけよう・・・。

最悪だわ・・・。

全然プロフェッショナルじゃない・・・。

とりあえず、今日は外に出て観光するんだから、ジャージから着替えよう。

ジーパンを履いて・・・っと。

ベルトをして・・・っと・・・って、あれ?

ベルト?

ベルトが、無い?

あれ? あれ?

スーツケースの中のどこにもない。

もしかして、忘れた?

ただ単に、忘れた?

ってことは、スーツのズボンもベルト無しじゃん。

やっべ。

どうしよう。

ジャケットとズボンの色が違くて、しかもズボンのウェストがダボダボって。

プロフェッショナルじゃなさすぎるわ。

ファッションセンスの無い、腰パン野郎じゃん。


すると、コンコン、とドアがノックされました。

朝食が来たようです。

よりによって、ウェストがダボダボのジーパンを履いている時です。

ジーパンを上に引っ張りながら、ガニ股でドアに行きました。

ドアを開けると、可愛らしいアジア系の女性がいました。

「ハーイ」

「ハーイ」

「どこに置きましょうか?」

「あ、そこで」

彼女が僕の隣を通って、テーブルまで運びます。

その時、ずるりとズボンが落ちそうになったので、必死に股を開きました。

「どうぞー」

「サンキュー」

「バーイ」

「バーイ」

この五つ星ホテルで彼女が腰パンを見たのは、果たして何回目なんだろうか、と思いました。

 

<写真>

津南の水

f:id:wattaso23:20190317090515j:image

ホテルの部屋からの景色1

f:id:wattaso23:20190317090542j:image

ホテルの部屋からの景色2

f:id:wattaso23:20190317090937j:image

ホテルで頼んだ朝食

f:id:wattaso23:20190317090617j:image