madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

銀座の恋活パーティで出会ったバンダナの子 その9

その1はこちら

あらすじは↓

銀座の恋活パーティで出会ったバンダナの子に誘われて行った、12月23日のセミナー。

「現場」「15万」「目標達成」という隠語がそこかしこに使われているが、それがどういう意味か、想像しかできないmadajima。

バンダナの子に質問しても、かわされて、なぜか代わりにベンツリーダーや新潟さんが話しかけてくる。

俺が話したいのは、バンダナの子だけだ!

1対1でデュエルしようぜ!

madajimaとバンダナの子は、12月26日の仕事帰り、二人で会うことになった。

 

 

12月26日は、イギリスではボクシングデーと言って、祝日である。

ボクシング、と言っても、あの殴り合いのボクシングではない。

クリスマスの間も働いてくれた召使いの人たちに、箱に入ったプレゼントを贈る「Box-ing」から由来するものだ。

 

だが、僕は、バンダナの子と、殴り合いのボクシングをする心持ちでいた。

1対1の、デュエルである。

誰も介入することのできないリングの上で、バンダナの子と戦うイメージだった。

 

駅に先に着いた。

この時の僕は、かなりリラックスしていた。

元ボクシング世界チャンピオンの亀田興毅の心拍数は1分間に38回だったらしいが、この時の僕は1分に30回くらいだったと思う。

 

バンダナの子が、改札口から出て来るのが見えた。

あ、やべ。

めっちゃかわいい。

心拍数が、一気に上がる。

 

この時の服装が、23日のセミナーの時と同じ、グレーの厚手のワンピースだった。

くっ、さすが、服装でアドバンテージを取ろうとしているのだろうか。

そんな策略・・・悪くないじゃないか。

 

あくまでリラックスしている僕は、お疲れ、と笑顔で言った。

「待たせてごめんね、寒かったでしょ」と言ってくる。

余裕だわ、と笑顔を保ったまま言う。

 

僕たちは、駅の近くのショッピングモールまで歩き始めた。

「今日、めちゃくちゃ寒いね。ストッキング履かないの、ミスったなあ」

え? それ素足?

「そうだよ。madajimaには分からないだろうけど、ストッキングってすぐに破れちゃって、大変なんだよね」

ふ、ふーん。そうか、知らなかったわ。

 

なるほどね。弱みを見せて、こちらに心の隙を作る戦略ね。

やるじゃん。

巧みじゃん。

ま、そんな、そんな手にはかからないけどね。

 

「っていうか、ごめんね、わざわざ豊洲まで。今日、バスケットボールがあって」

あ、そうだったの? 何時から?

「8時から。でも、遅れるかもしれない、って言ってあるから、気にしないで」

おっけー。

 

それから、僕たちはバスケットボールの話をした。

「背がめちゃくちゃ高い女の子がおって〜」

「アラサーが多くて、すぐに息切れして〜」

「30人で1コートで十分で〜」

あ、そうなんだ〜。

僕は、心拍数が低いのを保ったまま、相槌を打った。

 

そして、話は、クリスマスイブのセミナーに移った。

バンダナの子は、元気があったが、ほんの少しだけ無理しているようにも聞こえた。

「カリスマさんのセミナー、めっちゃよかったよ!」

へえ〜。

「madajimaが絶対好きそうな話ばかりだったね、って」

ほお〜。

「私、めっちゃみんなに言ってたんだ」

ふ〜ん。

「なんかね、このコミュニティだけで使える、ポイントみたいなのを作ろう、って話で」

ほお。

「Tポイントカードみたいな感じ? 例えば、このコミュニティの人が、提携しているカフェとかに行くと、安くなる、みたいな」

なるほどね。

「私たちが、めちゃくちゃその店を使うようになったら、どちらにとっても嬉しいじゃん?」

確かにね。

「そういう、経済系の話が多かったんよ」 

なるほどね。

 

ああ、行けばよかったかな、と思い始めた。

クリスマスイブは結局、1日中YouTubeで動画を見て終わっていたんだっけ。

ゲーム作りにも、あまり身が入らなかったんだよなあ。

が、後悔はしていない。まじで、行きたくなかったし。

 

僕たちは、ショッピングモールの中にあるカフェで飲み物を頼み、席に座った。

お互いに、暖かい飲み物を握りしめるように持ち、ホッとした。

そして、僕は本題を切り出した。

ファイティングポーズを構え、ジャブを繰り出し始めたのだ。

 

でさ、あの23日のセミナーは、一体なんだったの?

俺は、どうしてあれに誘われたの?

「私たちがいるコミュニティについて、知ってもらおうと思って」

 

バンダナの子は、待ってましたと言わんばかりで、真剣な目つきをしていた。

僕は、それに怖気づかない。

 

ただ、人を増やすだけのコミュニティってこと?

「ちがっ」

なんなのそれ? バンダナの子は、経営者になりたいんじゃないの?

「そうだよ。例えば、私が飲食店を経営し始めたとしたら、あのコミュニティの人たちが来てくれるわけ」

「そういう人脈作りができやすいように、コミュニティがあるのね」

そう、言うけどねえ。

「で、madajimaの場合は、アプリを作って、リリースしたとしたら、このコミュニティの人たちが、ダウンロードしてくれるようになるわけじゃん」

「新潟さんの場合は、人脈がすっごいできていて、それで、舞台監督の仕事をもらったりとか、そういう良いことがあるから、コミュニティにいるし、コミュニティがもっと大きくなるようにも貢献している、って言ってた」

 

あ、そういうこと?

僕は、目が点になったように、驚いた。

「コミュニティに貢献している」という発想に、何かハッとさせられた。

 

「それこそ、飲食店をやっている人たちが多いから、私たちは、そこによく行ったりするよ」

「飲み会するときは、どうせなら、コミュニティの人たちのお金になった方がいいじゃん」

「経済は、基本的に、有限のお金の取り合いって、経済塾でも言ってたし」

 

む。

そうだね。

じゃあさ、あのセミナーで言っていた、「現場」ってなんのことなの?

 

「コミュニティのお互いのチームワークを高めるための、ミーティングみたいなものじゃん?」

「私たちが大事にしているのは、リアルのつながりなんだよね」

FacebookとかAmazonとかGoogleとか、今ネットで大きなコミュニティがあるけど、私たちのはリアルのつながり」

「経営とかで大事なのって、そういう強いつながりであるはずなんだよね」

「そういう協力関係を強くするために会ったりする、ってことだと思う」

 

え? そういうこと?

な、なるほど・・・。

 

俺はてっきり、ネットワークビジネスとかかと思っていた。

「まあ、アムウェイとか、ニュースキンをやっている人もいるよ。でも、全員じゃない」

ふ、ふーん。

「私とか、ネットワークビジネスだけで大富豪になろうとか、そういうの嫌やしな」

だよねえ。

 

僕は、完全にジャブの腕を下げてしまった。

ファイティングポーズをやめてしまった。

「あれ? なんでファイティングポーズなんて取ってたの? 俺、恥ずかし」

そんなくらいだった。

バンダナの子は、じっと僕の目を見て説明するので、それに気圧され、目を逸らしてしまった。

 

「でね」

うん。

「来年の最初の週末に、私らのコミュニティの全国会議があるんだ」

ぜ、ぜんこくかいぎ?

「新潟さんが、madajimaは来た方が良い、って言っていたよ。私らのコミュニティ全体の規模を見た方が良い、って」

あ、そう、そうなの?

「んで、私もそう思うし」

お、そ、そう。

「今回、1万5千人くらい来るみたい」

 え? そんなの多いの?

「場所は、幕張」

マクハリ?

「毎月1回やってて、今回は東京。2月は名古屋だったかな」

はああ?

 

経済塾や交流会、その他セミナーは、毎回100人、200人程度集まっていた。

正直、僕はそれが「全体」だと思っていた。

だが、上には上がいて、実際の「全体」は全国に広がっていて、さらにその100倍の規模であると言うのだから、たまげたものである。

 

「カリスマさんが主催しててね。また、この全国会議でも色々話すと思う。さっきのポイントの話とか」

ほお。

「2日間あってね。参加費は1万500円かかっちゃうんだけど、絶対その価値はあると思うよ」

ふーん、1万500円ね。逆じゃないよね?

「え?」

参加者が1万500人で、参加費が1万5千円じゃないよね?

「なに、1万500人って、中途半端」

おっけ。念のため。

「まあ、ライブコンサートで、二日間で1万500円だったら、めちゃくちゃ安いわけじゃん」

まあね。

「毎回、コミュニティの外からゲストスピーカーが来て、プレゼンしてくれるんよ。前は、直木賞作家の人だったし」

え? まじで?

「しかも、madajimaは今回初参加だから、前の方で座れるし」

なるほどね。

「どう? 来る?」

行くわ。

 

僕はやる気がみなぎり始めて来た。

23日は、ちょっとさ、俺の考えすぎだったかな!

カリスマさんのセミナー、行けばよかったな!

え? 幕張メッセで1万5千人が集まり、さらに秘密のゲストスピーカー?

行くしかないでしょ!

学びたいでしょ!

1万5千人と一緒に、1万500円分、フルに学びたいでしょ!

 

参加表明した後も、僕たちは語り続けた。

いや、バンダナの子が、自分の思いの丈や、これまでに起きたことをどんどん話してくれた。

「私もね、最初は、大げさなリアクションとか『うわ、気持ちわるっ』って思ってたよ」

「セクハラ攻撃みたいなのも、最初はまじで嫌で、愛想笑いばっかりしていたし」

「お金も、最初は違う、って思ってたし」

「お金持ちとか、本当嫌いだった。無駄に高いものジャラジャラ持ってて、チャラい、みたいな」

「でも、新潟さんたちに会って、変わったんよな」

「そういう風に『私、金持ち嫌いなんです』『そういう風になりたくないんです』って言ってたら、『もしかして、両親、お金のトラブルで離婚している?』って言われたし」

「そして、それ、当たってるし」

「夫婦で美容室やってたけど、お父さんが株で失敗して、それで仲が悪くなって、離婚したんよ」

 

あ、まじで。

僕は口があんぐり開いていた。

バンダナの子は、「あまり言いたくなかったけど」みたいな苦しそうな表情をしていた。

プライドの高い彼女が、あくまで自分を強く見せようと、吐き捨てるような言い方も印象的だった。

そういった姿から、その離婚は、遠くない過去の話なのだろう、と想像した。

 

「それでな、ムネリンに誘われてこのコミュニティに入って、経営者の人たちから、直接お金の話とか学んだりしはじめたんよ」

「私たちの世代は、年金いつからもらえるかわからないんだから、今のうちにいっぱい稼がなきゃダメでしょ、とかさ」

「好きじゃない仕事で残業をたくさんして、それって良い人生なのかな、とかさ」

「それが、ちょうど2年前」

「それから、『自分の好きな人に囲まれて、好きな仕事をやりたい』って思うようになって、それで、私はこのコミュニティにいるんよ」

「年始最初の土日、いきなり1万500円払って何してんの? って感じだけどね。その価値があると思って、私は行く。この環境を信じているし」

「私は、絶対に、将来、外車に乗って街を走り回りたい」

「子どもができたら、好きなことさせてあげたい」

「それに、いっぱいお金をかけて育ててくれた両親に、思う存分親孝行してあげたい」

 

僕はひたすら首を縦に振って聞いていた。

ノーガードで、パンチを受け続けていた。

僕は、じっとバンダナの子の目を見ていた。

そして、バンダナの子も、僕の目をまっすぐに見ていた。

その話す姿は、恋活パーティの後に初めて会った、オムライスレストランの時と似ていた。

 

もう何度もこの表現をしているが、彼女の大きな目に吸い込まれるような感覚がした。

この子と一緒に頑張りたいなあ。

サラリーマンクンポケット、絶対に完成させたいなあ。

このゲームを、人気シリーズにさせたいなあ。

バンダナの子に見合う男になりたいなあ。

 

ふと気が付いて、時間を確認したら、8時をとっくに過ぎていた。

あ、ごめん、時間、過ぎちゃったね。

「全然いいよ。遅れるかも、って言ってるし。逆に、豊洲にわざわざ来てくれて、ありがたかったよ」

 

僕は、バンダナの子が時間を気にせずに話してくれたことが嬉しかった。

「バスケットボールより、madajimaの方が大事だから」

それを、行動で示してくれた気がした。

 

何それ、嬉しい。

パンチの連打、ありがとう。

気持ち良かったわ。

 

僕たちは、ショッピングモールを離れた。

「ちなみに、今、1万500円あったりする?」とバンダナの子が聞く。

お、あるある!

「おお、ぴったし! ありがとう! チケット係に渡しておくね」

こちらこそ、ありがとう!

 

そう言って、寒い夜の中、僕たちは別方向に進んでいった。

だが、心は、同じ方向に向いている気がした。

2018年が、楽しみすぎるわ!

とりあえず全国会議まで、サラリーマンクンポケット、頑張って作り続けよ!

 

そういう決意を持って、2017年が終わり、2018年になった。

そして、1月最初の週末、全国会議初日になった。

 

行きたくねえ・・・。

幕張、行きたくねえ・・・。

面倒くせえわ・・・。

かったりいわ・・・。

 

続きます。