madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

期待

数ヶ月前、友だちと飲んでいた。

東京都内にあるビール工房。

その場で作られたビールを飲める、僕たちのお気に入りの場所である。

世間話をしながら笑ったりしていると、友だちがトイレに席を立った。

僕は手持ち無沙汰になったので、ビールを一口飲んだ。

皿に載っている唐揚げを、箸でつまんだ。

すると、隣のテーブルから会話が聞こえてきた。

「えー、彼女さんと3年も続いているんですよね?」

「秘訣はなんですか?」

僕たちのテーブルは、メインの場所からは少し離れて静かになっており、周りの会話が聞こえやすかった。

若い男性一人と、もっと若い女性二人の三人組。

社会人と大学生だろうか、と思いながら、会話を聞くことにした。

別に、恋人と3年続く秘訣を知りたかった訳ではない。手持ち無沙汰だからである。

若い男性は少し考えて、こう言った。

「期待しないことかな」

女性二人は、一拍間を空けて、「あ〜」と感嘆した。

続けて僕は「ああ〜〜」と心の中でより深く感嘆した。

僕は、自分との関係が近ければ近いほど、「普通こうだろ!」と、相手が自分の思うように動かないことに苛立ってしまう。

生まれ育ちの違う、全く違う人間なのだから、考え方が違うことなど当然なのに、そういう風にしてイラッとする。

自分のコピーなど、この世に存在しないのに。

自分のコピーなど、求めるのは間違っているのに。

みんな違ってみんな良いのに。

何度も同じ風に考え、何度も反省してきた。

一方、この男性は、「男女関係長続きの秘訣」という問いに「期待しないこと」という答えがすぐ返ってくるほど、気をつけ、実行しているのだ。

3年付き合うという結果も残している。

大したものだ。

見上げたものだ。

言うに易し、するに難しなのに。

彼女のいないところで、若い女の子二人と遊んでいるということは、マンネリ化でもしている気がするが、そこは目をつぶっておこう。

やがて、友だちがお手洗いから帰ってきて、また同じように喋り始めたが、僕の心の中は、トイレ前とトイレ後でかなり違っていた。

 

さて、僕は旅行に行ってくる。

ドバイ、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、そしてニュージーランド

3日後から、2週間半をかけて地球を一周してくる。

ここでも、最大の敵は「期待」だと思っている。

「きっと、人が明るい、良い国なんだろうなあ」

「こんなにお金をかけているのだから、楽しいに決まっているだろうなあ」

「東京とは違ってほのぼのして、ゆったりできるのだろうなあ」

こんな期待は、ダメである。

どうせ、こんな感じで裏切られるのが目に見えている。

「うわ、スマートフォンで写真を撮っていたら、自転車に乗った奴にかっさわれたよ・・・最悪・・・」

「うわ、飛行機欠航って、この後の予定全部狂っちゃって、全部キャンセルしなきゃだよ・・・」

「うわ、ここにいる地元の人、全員俺の敵に見えてきた・・・」

 

なので、僕は閃いた。

そもそも、これを「旅行」と考えなければ良いのだ、と。

修行なのだ。

これは修行なのだ。

メンタルを鍛える為に行ってくる修行なのだ。

銃所有が当たり前の荒んだ国に高い金を払って行って、ピリピリと神経を尖らせながら、自分を鍛えるのだ。

 

そうやって、自分でどんどん期待値を下げると、キツいことも大したことなくなってきた。

予約したホテルの「利用可能言語」に、「英語」が載っていないことに気付いた。

サッカーの試合を見るつもりだったが、試合日が変わって見られなくなった。

今週末風邪をひいて寝込み、やろうと思っていた準備が全然できなかった。

 

もはや、始まる前から全然うまくいっていない。

なので、もう、生きて帰って来られれば100点だと思っている。

五体満足で帰って来れれば、もう他はなんだって良い。

あとはなんとかなる。

生きていれば、良いことある。

ぶっちゃけ、その「生きて帰る」の達成すらあまり期待しなくなり、最近は色んな人に「今までありがとう」的な挨拶をしたりしている。

え? 「帰って来ることが目標なら、そもそもなんで行くの?」だって?

言っただろう。これは修行だ。

全く違う景色を見て、全く違う人たちと会い、強くなるためである。

 

危険な環境に行くのを想像することで、「死」をやたら考えるようになった。

今死んだらどうなるか、誰が悲しむか、僕のコンピュータのパスワードはどうなるか、毎月払っている料金はどうなるか。

そして、人生でやり残した事はなんなのか。

「死」を考えることで、「生きよう」というエネルギーを得られるんじゃないか、とそんな風に考え始めた。

日常生活で「死」を意識しなくていい幸せな国に住んでいるからこそ、「生」というエネルギーを得るのは難しい。

今回は、そのエネルギーを見つけにいく修行、とも言えるのかもしれない。

リスクがあるからこそ行くのだ、と。

 

と、いうことで、しばらく更新はお休みします。

次に書く内容は決めていて、僕の友人、天くんの「転職活動日記」です。

転職活動に関わる面白いドタバタが彼に色々起きたので、それを書き残したいと思っています。

でも、まあ、期待しないでくださいね。

その新しいシリーズの中身も、そもそも更新が再開することも。

 

今まで読んでいただき、ありがとうございました。

と、念の為書いておきます。