madajimaとの会話

たまたまここを訪れてくれた方を一笑い吹かせるために、赤の他人との「どうでもいい会話」や自分の「どうでもいい思考」を載せています。

madajimaの海外 シドニー編 その6 - ブリッジ

会議は無事に終わりました。

一応予定通り、17時にキリがつきました。

そしてこれも予定通り、飲み会みたいなのが開かれることになりました。

ハーバーブリッジという大きな橋の近くにあるパブです。

全員参加ではありませんでしたが、偉い人たち数人と、偉くない僕たちで歩いて向かいました。


偉い人たちは偉い人たち同士で話していて、僕とショーンはその後ろを歩いていました。

ここで、良いチャンスだと思って、ショーンにホテルのことについて聞きました。

「朝飯、今日何食べたの?」

「え? ああ、普通に、パンとかだけど。あ、そういえば、madajimaのこと、バイキングに見なかったね。何時に起きたの?」

「へ?」

僕は目が点になりました。朝飯バイキングなど無いと思っていたからです。

「嘘でしょ? バイキング、あるの?」

「うん、俺は、受付の人にそう言われたけど」

「え? 言われてないけど?」

「ふーん」

「ルームサービスで朝食を食べるものかと・・・。今日めっちゃ頼んじゃったんだよね・・・じゃあ、自分で払わなきゃか・・・」

「まあ、ルームサービスの分は払わなきゃだろうね」

「・・・」

一応値段も見ていたので覚えていましたが、確か二食合計で70ドル(5600円)くらいです。

やってしまいました。

とんでもない金額を朝食に払うことになってしまいました。

無料で済んだのに。

しかも、今日の分はほとんど食べていません。

無駄遣いをするにも程があります。

300円の朝飯約18日分を、2日で消費したわけです。

最悪です。

お金の使い方を普段からひたすら気を付ける僕には、精神的にものすごいダメージです。

何日も考えて落ち込むやつです。

これも全て、受付の人が僕に説明をしなかったせいです。

また、僕が受付の人に「朝食はどこで?」と聞かずに、「5つ星だから、バイキングなんてないんだな。ルームサービスなんだな」なんて決めつけたせいです。

ちゃんと受付の人に聞く勇気が大事なんだと、この5600円で学ばなければならないと気付きました。

とはいえ、ズーンと重い気分になり、ショーンへの受け答えも適当になってしまいました。


しばらく歩いて、パブに着きました。

天気が良くて、温度も20度くらいと快適だったため、外の席に座りました。

会社持ちだということなので、ビールやステーキを適当に頼んで、飲み食いし始めました。

「それで、シドニーはどう?」

僕とショーンにそう聞いてきたのは、アジアオセアニアファイナンス部門のトップです。

この中で一番偉い、強面の彼です。

絶妙なイジりで、僕を「オミヤゲの悲劇」から救ってくれた彼です。

「すっごく良い街ですね」とまず言いました。

これは本音です。昨日1日ぶらぶらして、自然に溢れた良い街だな、と感じました。

「昨日ボンダイビーチ行ってきたんですが、めちゃくちゃキレイでしたね」

「ああ、ボンダイね。あそこは良いよ」

「ただ、水が高いですね。めちゃくちゃ」

「え?」

「水ですね。日本では1ドルくらいのペットボトルの水が、こっちでは6ドルとかして、ビビりました」

「ああ、それはね。でも、ここ、水道水は飲めるよ」

「え、そうなんですか?」

「だから、外に行くときは、マイボトルに水道水を入れて持って行ったり」

「えええ」

「誰もペットボトルの水なんてファンシーなもの、買ったりしないよ」

「ファンシー? ペットボトルの水が?」

ここでドッと笑いが起きました。

僕は笑いを起こす気は一切なく、ガチの質問だったので、笑いが起きたことに驚きました。

すると、日本によく来る、アジアのファイナンス部門のトップが質問してきました。

「日本の水道水も飲めるでしょ? それなのにわざわざペットボトルの水を買うの? 俺、今まで東京のホテルでも水道水飲んでたけど」

「えっ? マジで? ホテルの、あのバスルームの水? あれを飲んでたんですか?」

「うん・・・でもその反応見たら、もう飲まない方が良さそうだね」

ここでまた笑いが起きました。

あのバスルームの水を飲むという発想が自分の中にあまりにもなく、びっくりしました。

あの水が浄水されているとは、あまりにも思えなかったからです。


今から4年ほど前でしょうか、僕は「お前、東京で水道水なんか飲んでいるの?」と言ってきた友人に紹介されて、浄水器を購入しました。

彼は、いかに東京の水が汚いかを熱弁していました。

東京で水道水を飲んでいるなんて信じられない、という表情をしていました。

それを信じた僕は、15万円くらいする浄水器を買いました。

「水道水飲んじゃいけなかったのか・・・でもペットボトル買うのかったるいしな・・・」という感じでした。

そういった経緯もあり、「水道水は飲まないもの」という認識でいました。

ただ、今、これを書いている時に、「本当に、東京で水道水を飲んでいいのか」と疑問に思ったので、東京水道局のホームページを見てみました。

そして、「よくある質問」のところに、案の定載っていました。

質問:「浄水器は必要なのでしょうか」

回答:「水道水は、水道法に基づく水質基準に適合しておりますので、安心してそのままお飲みいただけます。(中略)なお、浄水器具内に滞留した水は残留塩素が無くなるため雑菌が繁殖し易くなることがあります。使用する場合は十分にご注意願います」

https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/faq/qa-13.html#18

まじかよ・・・。飲めるんじゃん・・・。

東京の水道水、普通に飲めるんじゃん・・・。

っていうか、むしろ浄水器の方がダメな感じじゃん・・・。

なんで俺、浄水器なんか買ったん・・・。

あの友人の話は、「東京の水は汚い」って思わせて浄水器を買わせる、巧みなセールストークだったのか・・・。

アジアオセアニアのトップですら水道水を飲んでいるのに、なんで俺みたいな人間が15万も払ってファンシーなことしているんだよ・・・。

へこむわ・・・。

お金の使い方を普段からひたすら気を付ける自分には大ダメージだわ・・・。


さて、シドニーのパブに戻ります。

だんだんと暗くなり、太陽が完全に沈む手前くらいでした。

水の話が済んだ後、僕は鳥のことも話しました。

「そういえば、ホテルの前の公園の近くを歩いていたら、鳥がぶつかってきたんですよね。なんか目に直接当たって、目の前が真っ暗になって、何が起きたか全然わからなくて。まあ、幸運なことに、コンタクトレンズが外れるだけで済んだんですけど」

これを聞いたみんなが驚きました。

「本当に?」

「大丈夫だったの?」

「目に何も異常が出なくて、ほんとラッキーだったね」

ただ、一人だけ、例の強面の彼は、こう言いました。

「ああ、俺もぶつけられたことあるよ」

「へ? ぶつけられた?」

「あれ、腹立つよな。急だから、ぶつけられた直後は訳分からないし。もう3回くらい食らってるよ」

「さ、さんかい?」

「マグパイだよ。この時期になると、子どもを守ろうとするとかで、アグレッシブになるんだよね」

僕は、「鳥」という言葉と「アグレッシブ」という言葉をセットで聞くのが初めてでした。

避けるのが得意で有名な「鳥」が、「アグレッシブ」?

人間がサッカーでゴールを守ろうとしてアグレッシブになるのは分かるんですが、鳥が公園で子どもを守ろうとしてアグレッシブになるのは、意味がわかりませんでした。

「え、あれ、鳥がたまたまぶつかってきた事故だと思っていたんですけど、あれ、『攻撃』なんですか?」

「そうだよ」

「えええ! シドニー、良い街だと思っていたんですが、こわいですね」

ここで、再び笑いが起きました。


偉い人たち相手に笑いを起こし、少し調子に乗ってきた僕は、お釣りの話もしました。

「こわい、といえば、お釣りの1セント、もらえなかったんですよね」

「どういうこと? お釣り?」

「5.99ドルの水を買っても、お釣りの1セントのコインもらえなかったんですよ。もう信用できないから、それからずっとクレジットカードしか使ってなくて」

「はははは!」

ここで、再び笑いが起きました。

「あー、日本ではまだ1円玉を使っているからね」

「へ?」

「オーストラリアでは、1セント単位は切り捨ててるんだよ」

「え?」

「1セントコインは出回ってないからね。1990年くらいからかな?」

「ええええ!」

これは、日本から1円玉が消え去るのと一緒です。

そんなこと、想像すらしていなかったです。

まさか、1円玉を使っていることが、「遅れている」と見られるとは思いもしませんでした。

また、『1円を笑うものは1円に泣く』ということわざと共に生まれ育ったドケチな僕には、とても理解できないことでした。

「俺は、ただ単に、レジの人が人種差別しているのかと」

「はははは!」

ここで、再び大きな笑いが起きました。

東京によく来るアジアのファイナンス部門のトップが、「madajimaもそうだけど、日本人はキチキチとして真面目だからね。でも、オーストラリア人は数セントくらいどうでもいいんだよ」と言いました。

その流れで、冗談の意味も込め、「Welcome to Sydney!」と言ってみんなで乾杯をしました。

カチンカチン、という心地いい音が、爽やかな風に乗るようでした。


その爽やかな風の向こうには、巨大なハーバーブリッジが、ドスンと両岸にまたがっていました。

橋脚が一切無い、こんなに大きなアーチ橋は今まで見たことがなく、ついつい見とれてしまいます。

僕も、あんな風になれたらな、と。

何があっても大股広げて動じない、大きな心を持てたらな、と。

1セントのお釣りを気にしない。

2日で5600円の朝食も気にしない。

15万の浄水器も気にしない。

鳥に攻撃されても気にしない。

大きな、大きな心を・・・。

 

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↑パブに向かう途中。左手に行けばパブとハーバーブリッジ。

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↑地味に誕生日席でした。何のビールかは忘れました。

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↑後日撮ったハーバーブリッジ。巨大さが伝わらないのが残念。